忍者が活用した錚々たる薬草&毒草リスト!

小学生〜高校生のみんなはもう新学期が始まってしまっただろうけど、9月まで夏休みがある大学生の諸君! お台場でやってる企画展「The NINJA -忍者ってナンジャ!?-」はまだまだ10月までやってます!

彼女とのデートで行っても、サークル仲間との飲み会前にふらっと立ち寄っても楽しめる忍者展。 あの徳川家康と服部半蔵忍者隊も応援に駆けつけました!

大人気忍者ユニット達も大変楽しんで帰られたそうです。

もし彼女とデートに行くなら、一緒に展示を回ってるときに「ここね、展示には書いてないけど実はこうなんだよ」って豆知識を披露しようものなら、彼女はあなたにさらにベタ惚れすること間違い無し!

忍者展の特別講座では、各展示を担当した大学教授の方が詳細を教えてくれますので、このNinjackレポを読んで彼女をもっと惚れさせましょう!

忍者が活用した薬草と毒草!

忍者の薬草と毒草を担当する忍者先生は三重大学伊賀研究拠点の山本好男先生。

小さい頃から何か具合悪くなると医者に連れていかれることなく、親から薬草をあてがわれたという生粋の薬草と共に生きた先生。薬草や毒草に大変詳しく、司法解剖などで生薬による毒成分の検出・研究でもご活躍されたのだとか!西洋の薬はすぐ成分はわかるのですが、生薬類は本当にわかりづらく厄介らしいです。

忍者と薬・毒

忍者は薬売りに化けて諸国を行脚したり、薬草・毒草の知識に長けていたと言われています。甲賀の地には昔から続く製薬会社がたくさん存在しているなど、忍者と薬の関連性には注目してしまいますよね。

ただ実際はどちらかというと忍者が薬の知識に詳しかったから薬学が発達したというよりは、この伊賀や甲賀の地域は大変薬草が取れることから薬学や製薬が盛んになったのだと山本先生。

忍術とはそもそも、剣術、呪術、火術や薬学、天文学などのあくまで総合的な生存技術のことをいいます。

その基本となるのは健康的な身体を維持することですから、怪我や病を直したりするのに必要なのが薬。そして、暗殺や任務のために人を操るのに使用したのが毒。これらを自由自在に操ることで任務を達成しやすくすることができるのです。

忍者を多く輩出した伊賀や甲賀の地域は、都からも近くて情報が手に入りやすく、山に囲まれ攻め込みづらく、薬草や毒草も多く生えているという、忍者が生まれる条件が揃いも揃った地理的背景があったのでしょうね。

薬や毒はいつからあったの?

古事記に描かれる日本神話に「因幡の白兎」という物語があります。

毛をむしり取られたウサギが、騙されて海水をかけたらヒリヒリしていたところ、通りかかったオオクニノヌシノミコトが「今すぐ川口で体を洗い、蒲黄(がま)の穂を敷き散らせば傷は癒えるだろう。」と教えたことでウサギの傷はみるみる癒えたといいます。

日本では古事記の描かれた時代から、薬用知識があったのですね。

薬物学は古くは中国神話の炎帝・神農があらゆる草花を食べてその効能を検証し、世界最古の本草書『神農本草経』において

  • 無毒で長期服用が可能な養命薬
  • 毒にもなり得る養生薬
  • 毒が強く長期服用が不可能な治病薬

の3種類に分類して、後世に薬や毒となる薬物学を伝えました。

絵でも草食べてますね!

日本ではまだ古墳時代の頃ですから、中国四千年の歴史はやはり侮れません。忍者は修験道者と同一だと捉えると、中国の文化や知識・宗教の影響を大きく受けた修験道の教えの中に、大陸から流れてきた薬学知識が伝わったのではないかと山本先生は語っていました。

「毒にもなり得る養生薬」とありますが、薬と毒は紙一重で、あの猛毒として名高いトリカブトもごく少量であれば薬として使われているようです。ひとつの草が人に有利に働くものが薬・人に不利に働くものが毒。これを薬毒同源といいます。

忍者が活用したであろう薬草・毒草Listを公開!

忍術書にも記述のある忍者が活用したであろう薬草・毒草をご紹介してくださいました。講義で紹介されたものを少しリストを整理して公開いたします!

この中で個人的に気になるのはやはり「マチン(馬銭)」!

落第忍者乱太郎にもよく出てきますが、忍者が家に侵入する時に犬に食べさせて気絶させたりするのに使いました。マチンを使った毒の忍術は今でも語り継がれていて、ひと昔前は、野犬が大量発生した際にもマチンを使った餌が使われたのだとか。

今では動物愛護の観点から使われることは全く望みませんが、昔の忍者の知恵が受け継がれていること自体は嬉しくなってしまいますね!

そしてこちらも落乱に出てくる「宿茶の毒」。 こちらは動物に対しての実験は行っているものの、まだ忍術書に書かれるような効果は出ていないとのこと。

実際はこんなことはできなかったのでしょうか。今後の実験の成功を祈るばかりです。

忍者情報サイトなので忍者が使った植物としては毒のみを多く紹介してしまいましたが、講義では他の薬草もいっぱいご紹介されていましたので、ぜひ薬草に関する知識を広げたい方は以下のスライドもご参考にされてください!

山本先生にプチNin-terview!

最後に山本先生にプチNin-terviewのお時間をいただきました!

本日は大変勉強になりました!忍者が使った薬草の中で特に現代でもオススメのものはなんでしょうか?

山本先生:  それはもう薬草の中でも最強なのは「ドクダミ」ですね。1日3回は飲むと健康を維持できると思います。甲賀では忍者が飲んでいたと言われる薬草茶なんかも売っていますので、あれも飲むといいかもしれませんね。

甲賀の望月屋敷に売ってますよね!おいしかったです。なぜ甲賀や伊賀の地域には薬草や毒草が多く生えているのでしょうか?

山本先生:  地形的にあの一帯は山に囲まれた谷になっていますよね。そのため風がよく通り、草木がよく育つのです。特に伊吹山の麓あたりが薬草の聖地でして、そこに近い甲賀や伊賀の忍者たちが薬草を摘んで、調合し、日々の暮らしに役立てていたと考えられます。

彼らの薬草や毒草の知識はどうやって培ってきたのでしょうか。

山本先生:  講義でも申し上げた通り、薬学の知識は中国などの大陸から伝わってきたと考えられます。飛鳥時代などの中国との交流が始まった時代などに日本に伝わり、修験者を通して忍者にもその知恵が伝わったものと思っています。忍者の発祥に「徐福来日説」などもありますが、もしその説をとったとすると薬学知識的な観点からすると納得がいきますね。薬学の観点から忍者のルーツをもっと調べねばならないと感じております。

修験道と大陸文化のつながり、修験道と忍者の関わりは見逃せませんよね。ちなみに宿茶の毒は本当に効果はないのでしょうか…

山本先生:  もしかしたら人でやったら効果はあるかもしれません。動物は耐性が強かったりして思う通りの結果にならないこともあります。宵越しのお茶も美味しいとは思いますけどね(笑)

わかりました!では自分でやってみたいと思います!笑 最後に忍者展のオススメどころを教えてください。

山本先生:  忍者展では心・技・体の大切さが学べると思いますが、中でも忍者の土台を作るのは「体」です。体を健康に維持するために忍者が活用した薬草の知識は現代にも役立つはずですので、ぜひ薬草の知識を学んでいっていただければと思います。

ありがとうございました!

忍者は薬学にも詳しく、自分の健康を守るため、時には任務のために相手を毒で制すこともしながら、使えるものはなんでも使って生きていたのでしょう。そして製薬が盛んなのは伊賀や甲賀の立地からくる独自性の部分であり、薬学の知識はともかく製薬技術は全ての忍者に当てはまるスキルではないように思いました。

全国にその存在が見られた忍者ですが、雑賀衆は鉄砲を得意としたり、風魔は山道を駆けるのを得意としていたりと、その地域地域で得意なものを活用しながら任務の成功確率を高めていったと推察されます。たまたま甲賀は特に薬草・毒草がたくさん取れたから、特に薬の忍者というイメージがついたのでしょう。こうやって別の観点から忍者を紐解いていくとまた面白い忍者の本質が見えてくると感じました。

次週は忍者展最後の特別講座ですので、お楽しみにしていてくださいませ!

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