江戸・伊賀者の真実がここに!「忍者の末裔」が明かす事実に驚愕

江戸時代の伊賀忍者はどこにいたの?

東京一番の繁華街渋谷と押上を結ぶ東京メトロ半蔵門線。

路線内の「半蔵門駅」の名前をとって半蔵門線と名乗っておりますが、この由来には忍者が関係していることをご存知ですか?

江戸城の大手門のちょうど反対側に「半蔵門」と呼ばれる門があります。その名がついたのは、この門を警備したのがかの有名な忍者棟梁・服部半蔵だったからなんです。

江戸時代初期は、半蔵門のそばに伊賀者たちが詰めて住んでいたといわれています。家康の伊賀越えで道案内をした功から、伊賀者や甲賀者が江戸城で召抱えられ、それぞれ200名あまりの忍者達がどっと江戸まで引っ越してきました。

江戸時代には東京に伊賀者達がいて、要するにつまり忍者の末裔達がわんさかと住んでいたんですね!

江戸城で働く伊賀者たちの生活が明らかに!

家康に認められて江戸城に集まった伊賀忍者たちですが、江戸時代は戦乱なき平和な時代。戦がなければその得意とする諜報スキルは活かしようもなく、時代の流れに応じて生きていくためには仕事を変えていかねばなりません。

決して身分が高いとは言えない伊賀者たちは果たしてどんな仕事をし、どんな風に江戸時代を生き抜いて来たのか。どんな給料事情で、どんなところに住み、どんな仕事をして、どんな思いで日々を暮らしたのか。

そんなリアルな忍者の末裔たちの生き様を克明に伝えてくれる書籍が出版されました。「忍者の末裔 -江戸城に勤めた伊賀者たち-」です!

忍者の末裔の方が持っておられた古文書をベースに書かれている本なので、その暮らしぶりが妙にリアルなんですよね。これはなかなかに貴重な書籍となっておりますので、ご紹介したいと思います!

平成の世にも「あるある」の苦労話に同感…

この本に出てくる忍者は松下家の伊賀者たち。ワンコイン古文書講座を行なっている高尾善希先生の講座に通う生徒さんの家から出て来た古文書に、克明に当時の生活の様子が描かれていたものを書籍にされたものです。

そしてそこに書かれていたのは…封建社会と厳格な身分制度の中で踏ん張って生きていく伊賀者の実態でした。

伊賀者の血と家を繋いだご先祖様の生き様には、伊賀者としてのプライドを大事にする誇り高き姿や、伊賀者の知行地に住む町人を思いながら生きる優しき姿が見え隠れします。

松下家の4代目までは、以下のような伊賀者のプライドと家を後世へと紡いでいくエピソードが散りばめられているのです。

忍者って冷酷なイメージがあったけど、ここに描かれる忍者の末裔の方達は優しい人達だったんだなぁ…

この本を読むと、忍者の意外な一面に驚くことと思います。

そして、決して高くない江戸時代の伊賀者の給料の中で、出世を望み懸命に働き、家族を養う姿。その姿が今の世知辛い平成の世を生き抜くサラリーマンのお父さん達に重なる気がするのは僕だけでしょうか。

特に細かく描かれているのは、松下家文書をしたためた5代目の松下菊蔵さんの記述ですが、彼の生涯がなかなかにおもしろいのです。なんだか今の世でも普通にありそうな苦労話がたんまり出てくるんですよね。これらの大変な苦難も、全て家を守るためにコツコツとこなしてきた松下菊蔵さんの姿に同情を隠しきれませんでした。

忍者というのは本当に耐え忍んだ存在だったのかもしれません。

大奥女中との交渉!そして影の任務も…

特にグッと来たエピソードは、忍者の末裔の菊蔵さんが行った大奥女中と業務分担を巡って交渉バトルでした。

西之丸大奥で働いていた菊蔵さんが、くじ引きで決まった人事異動で本丸の大奥で働くことになったのですが、本丸は西之丸よりも女中の人数が多いことが判明。西之丸では事務官4人で回していた超複雑な給与計算業務が、なぜか本丸に来ると自分も入れて事務官が3人しかいないのです。

これまではやってあげてたけど、もうこっち側の業務が回らないので「給与計算は奥女中のみなさんが自分達でやってください」と伝えることにしました。すると向こうは奥女中の外交官的役割を担っていた平尾という交渉上手な女性が出て来て、「いやいや、西之丸と同じようにあんた達がやってくださいよ」と業務の押し付け合いガチバトルが始まったのです!

この感じ…会社の管理部門同士がメンドくさい管掌業務を押し付け合う感じに似ている…!

結局菊蔵さん側はその交渉に負けて、大奥の給与計算業務を担当することになってしまいました。

でもそこではくじけない菊蔵さん。「ならば増員してくれ!」と過去の事例なども調べ上げた上で、幕府に懇願します。

この感じ…プロジェクトを進めろと言われながらもリソースが当てられない中小企業の感じに似ている…!

結果的には新しい同僚を得て、しかも「忙しそうだから」と銀二枚の特別ボーナスまでもらった菊蔵さん。これは今の僕たちにも見習うところがありますね!

そして、この本では彼の数ある仕事の中に一つだけ、御庭番とともに行った「影の任務」についても記述がありました。あまり詳しくは文書に残っていないようですが、やっぱり忍者は影の任務を行なってこそですので、このあたりの記述があったことはかなりグッと来ましたね。

気になる人はぜひ「忍者の末裔」を手に取ってみてください!伊賀者のリアルな息吹が感じられ、共感できること間違いなしです!

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