戦国忍者がみんな崇め奉っていたあの人のインタビューに成功! 〜修験道開祖・役小角〜|Nin-terview #000

いつ死ぬかもわからぬ、この戦国の世。 強く、逞しく、そして賢く生き抜く忍びの衆達よ、達者でござるか?

忍びのお役目を抱える者達にお送りしておる、この忍びの者専門情報瓦版「忍雀」。いつも贔屓にしていただき恐悦至極にござる!

さて、今回の瓦版はなんと… 忍びであるお主達が、崇め奉って止まない修験道の開祖であらせられる「役小角」殿に尋問をすることに成功致した!

特に伊賀者はかなり好きでござろう?お主達の里には、この役小角殿の像があらゆる所に100体以上も建っておるのを知っておるぞ。 本当に伊賀者はミーハーじゃのう!笑

西暦で申すと701年頃に天へと還っていった役小角殿であるが、たまたまこの前、下界に遊びにいらしてたところを見つけてしまったのでござるよ。 せっかくなので、ミーハーな忍者の皆の衆のために小角殿に色々と生き方や忍びについてどう思うかなどの話を伺ってきたでござる! お楽しみくだされ!

最初は役行者じゃなく「汚」行者だった

役小角殿!!本日は誠に会えて光栄でござる。今日は多くを語り合いて参りたいと思…

役小角: あ、Ninjackさんとやら、普通に話して大丈夫ですよ。人間としての寿命は1300年ほど前に終わりましたが、仙人には本寿というものがあって今も寿命続いてますからね。何度も下界にも遊びに来てますから現代の言葉もわかります。そういえば忍者って別に「ござる」って言ってなかったと思いますよ。

はっ…そうですか…。ではお言葉に甘えて…。小角さんは忍者の皆さんにずっと崇められていたすごいお方だと思うのですが、その生い立ちを教えていただいてもよろしいですか?

役小角: はい、私は奈良県の茅原というところで生まれました。父は出雲から婿養子として来た高賀茂問賀介麿(まかげまろ)という人で、母は賀茂役氏の娘だった白専女(しらとうめ)という人でした。

なかなか母が身籠もらなかったのですが、ある時、母がキラキラと光る独鈷杵(どっこしょ)が口の中に入る夢を見たんだそうです。その後、母のお腹がだんだんと膨らんでいき、生まれたのが私ですね。そのことからも私は幼名として「金杵丸(こんしょまる)」という名前がつけられました。

ちなみに母の家である賀茂家は、天皇との関わりも深くて朝廷から「(えだち)」の姓を与えられていまして、それが私が「役」の姓を名乗る所以です。

独鈷杵

密教法具を食べちゃう夢ってお母様も驚かれたでしょうね…子供の頃はどんなことをしていたのですか?

役小角: 私が小さい頃、誰からも習っていないんですがなんかインスピレーションが湧いちゃって、土に変な文字をずーっと書いていました。それ、あとでえらい坊さんに聞いたら梵字だったそうなんですけど。もうオシメを変えるのも忘れて梵字に明け暮れていましたね。一応周りにも子供はいたのですが、一人で泥や土で仏像を作ったりして遊んでいて、何かと1人で行動していたと思います。自分でも不思議なのですが、なんか仏様とかそういうのに惹かれちゃってたんですよね。

「梵字」は神を表す文字

その頃はどんな時代だったのですか?仏教ってもう日本に来てたかな…

役小角: ちょうど仏教が日本に渡来してから100年経った頃だったでしょうか。仏教の広まりは結構早くて、その頃には都近辺では立派なお寺なども経っていましたよ。私が暮らしていた茅原の地を治めていたのは外国の仏教にも寛容な蘇我氏一族だったので、それもあって仏教が身近だったのかもしれません。

ですが、大化の改新で蘇我氏が滅びてしまい、そこから茅原の里は貧しくなっていったのを覚えています。でも周りにはたくさんの最新の思想を学んだ僧の方がいらっしゃったので、私は僧侶の方達にあちこちお話を聞いたりして楽しく暮らしていましたね。

15〜16歳くらいの頃は、なぜか山で遊ぶのが大好きで、葛城山や金剛山で駆け回っていました。山って面白いんですよ。夜中に飛び起きて、金剛山の山頂を目指して一心不乱に駆け上った後の日の出の美しさとかが最高で、毎日毎日山に行っていましたね。あと、滝元に出かけていって滝に打たれたりとか。自然と一体になるのがとてつもなく楽しかったんです。

そのおかげで身なりはボロボロだったんで、村の人達が私を見て「『役(え)』ではなくて『汚(え)』の小僧行者だ」って悪口言ってましたけど(笑)

その頃からやっぱり山が好きだったのですね!ってか飛鳥時代の人々も結構ウマイこというもんですね!笑

モテ期の苦い思い出と蛇のトラウマ

もうほんと山と仏教っばっかりの青年時代だったんですか?それこそ青春的なことはなかったのでしょうか?

役小角: いや、実は私にもまだ女の子に免疫のないときで甘酸っぱくも苦い思い出がありましてね…。かなり今では後悔しているんですが…。

わー!何だろう?部屋の電気消すんで教えてくださいよ!

役小角: 修学旅行みたいで楽しくなってきましたね!絶対誰にも言っちゃダメですよ!ってかこういう話はタメ口でいこうよ。金杵丸って呼んでくれていいから!

いいから早くいいなよ〜こんしょまる〜!

役小角: ほんと、誰にも言うなよな!毎日のように山に入ってた頃、「茨田の長者」といわれる大金持ちの家が隣の「蛇穴の村」に引っ越してきたんだよ。そこの娘さんがもうメチャメチャ美しくて、村の男どもは誰も声をかける勇気がないくらい。その子はいっつも窓から外を眺めてたんだ。

俺は山に向かう途中、その家の前を通るんだけど、必ず窓にはその子がいて。最初は特に気にしていなかったのに「家に上がって最近お父様が仕入れたおいしい米でもどう?」とか声かけてくるんだよね。恥ずかしかったんで、もう無視して足早にそこを通り過ぎていってさ。だって恥ずかしいじゃん!めっちゃ可愛いんだもん!

フフフ…甘酸っぱいねー!それ絶対向こうも好きだったんじゃない?そんで、それからそれから?

役小角: あるとき、その子が窓から出てきてさ。頬を赤らめながら、俺に手を振りながら近づいてきたんだよ。もうこっちも下向きながらいつもよりも早歩きなわけよ。そしたらその子が…いきなり抱きついてきたんだ。

え!超脈ありじゃん!やったじゃん!

役小角: いやさ、もう嬉しいやら恥ずかしいやらもあったんだろうけど混乱しちゃって…結構自分でも頭はいいと思ってたんだけど、思考回路ショート寸前っすよ。んで持っていた棒で思わずその子のこと叩いちゃったんだ…。その子はすごく恐い顔をして、近くの森の方に逃げて行っちゃってさ。はぁ…

うわー…やっちゃったなぁ…でもわかる。そう言うことあるよね。僕は小学生低学年で卒業したけど…

役小角: 謝ろうと思って急いで森の中まで追いかけたんだよ。そしたらその子がなんと大蛇に化けてたんだ!あんな美しかった娘が臭い息を吹きかけながら、俺に迫ってくる。こんなことってありかよなぁ。

さすがに死にたくないからしょうがなく応戦してたんだけどラチがあかなくてさ。その時、鴨山の神様が加勢してくれて、その大蛇を追い払うことができたんだ。

鴨神様…さすが賀茂家の守護神、困ったときに助けてくれるね。にしても…なんともせつないお話だね…

役小角: その後もさ、田んぼのあぜ道とかに行くとその娘…っていうか大蛇が俺のこと待ってるんだよね。んで見つかると追っかけてくるんだよ。元々はあの可愛かった女の子だったからさ。さすがに倒すわけにもいかないし、とにかく逃げ回ってたんだよね。

お昼頃まで逃げ回ってたら、ちょうどそれを見てた村の人がお昼時で味噌汁飲んでたんだよ。多分助けてくれようと思ったんだろうけど、その人、味噌汁を蛇にぶっかけたんだ。そしたら、蛇はびっくりして近くの井戸の中に入ってしまって。その村の人はすかさずその上に蓋をして、どっかりと大きな石を置いたんだ。その井戸は開かずの井戸になってしまったというわけ。

それからこの土地は、蛇穴(さらぎ)と呼ぶようになってね。俺があの時恥ずかしがらずにあの娘の抱擁に答えていればと思うと…本当に申し訳ないことをしたよ。それからというもの、俺は蛇がトラウマなんだよね。

かわいそうなお話だね…。こんじょまるくん、これからもその蛇のこと忘れないであげてね…。あ、先生来た!寝たふりしないと!

役小角: うおぉぉぉ!狸寝入りの術!

この蛇になってしまった長者の娘さんを偲んで、奈良県御所市蛇穴にある「野口神社」では、今でも「汁かけ祭り」というお祭りが毎年5月5日に行われています。

そして身につけた孔雀呪法!

恋愛トークも終わったのでここからは真面目に行かせてもらいますね。その後もこんじょm・・・小角さんは山々を歩いていらっしゃったんですか?

役小角: そうですね。俺・・・私は引き続き山に足繁く通ったり、いろんなところに探検に出かけていました。ある時、飛鳥の元興寺(今の飛鳥寺)という寺を見つけたんです。そこには慧灌僧上(えかんそうじょう)という偉いお坊さんが住んでいましてね。ひょっこりご挨拶すると彼は私を見て「ただものではない」とか言うんです。慧灌の爺さんはその頃から「人間にとっては、山で暮らすことは自然から無限の恵みを受けるものである」というお考えをお持ちで、いつも山に行っている私を高く評価してくださったみたいなのです。

そんなこともあって、その方から「もし恐ろしい事にであったら自分の身を守るためにこの呪文を唱えなさい」と教えてもらった法術があるんです。それが「孔雀明王の呪法」というものです。

孔雀明王の呪法…!?その最強そうな法術は一体なんなのですか?

役小角: まず「明王」というのはご存知でしょうか?

いいえ、よくわかりません!

役小角: 密教の中での最高位の仏は「大日如来」ですが、その命令を受けてまだ仏教を信じていない人たちを無理矢理にでも信じてもらおうとする神のことを「明王」と言います。有名なのは不動明王とか、愛染明王とかですね。彼らは力づくでも密教を信じてもらわねばならない役目を担っていることからも、基本的に怒っている感じの恐ろしい表情をしています。

モデルは不動明王さん

確かに!みんななんであんな怒ってるんだろうと思ってましたがそういう役割だったんですね。愛染明王とか「愛の神」かと思いきや違うんですもんね。直江兼続が兜の前立てに使った「愛」もLoveじゃなくて愛染明王からとったとか言いますしね。

役小角: そんな激烈な明王たちの中で、唯一「慈悲の表情」をしているのが孔雀明王なのです。あなたが前に記事にしていた「摩利支天」と同じように、元はインドの女性神であり、しかも動物に乗っています。孔雀明王は読んで字の如く、孔雀に乗っていますね。

うわぁ!役小角様にもNinjack読んでいただいてたとは!

役小角: あなたの記事は基本的に長すぎるんです。もうちょっとコンパクトにまとめられないのですか?忍者が好きなのは伝わって来ますが、記事の更新も遅いですね。あと「Nin-◯◯」みたいなカテゴリにこだわっているみたいですが、誰もそんなの気にしてないですから!そのごちゃごちゃしたカテゴリもなんとかしてくださいね。もっと頑張りなさい!

すみません…頑張ります…。ってそこはいいですから孔雀明王の呪法について教えてくださいよ!

役小角: 実はこの孔雀明王の特徴がまた味噌なのですが、孔雀というのは蛇を食べる動物なのです。古代インドでは蛇の毒で死んでしまう人も多かったことから蛇を大変恐れており、この孔雀を神として崇めていたのですね。孔雀明王は「人々の災厄や苦痛を取り除く功徳」があるとして信仰されていました。そしてそのような悪いものを食べることからも、人間の煩悩の象徴である三毒(貪り・嗔り・痴行)を喰らって、仏道に成就せしめる功徳がある仏として、明王の地位に抜擢されているのです。

私は長者の娘事件から蛇がトラウマでしたから…この孔雀明王には、それはもうすぐに飛びつきましたね!なお、呪法の内容については申し訳有りませんがお伝えすることはできません。それからというもの、またいつ蛇が出るとも限りませんから、葛城山を登るときや滝に打たれて遊んでいるときは常にこの呪法を唱えていました。

ほう…だんだんと役小角さんが開祖した山伏修行のそれっぽくなってきましたね…!

このお話は続く…のか!?

役小角: それでですね、そうしているといろんなお導きがあって箕面山に登ることになるのですが、そこですごいことが起こったんですけどね。実は…

あ、すいません!紙面の都合上、この辺で今日は終わりですね。

役小角: 紙面ってお主、これWEBだからスペース関係ないでしょうよ!

いや、ちょっと1記事にしては長過ぎちゃって…これエイプリルフール企画で軽く済ますつもりだったのに、小角さんの伝説が多くありすぎてまだ小角さんの人生の8分の1くらいしか聞けてないですね。最後に役小角さんの「忍者とは?」聞きたかったのにな〜。次のエイプリルフールまでお預けだなぁ。

役小角: え?じゃあこれ次やるとしたら1年後なの?私の人生これからがおもしろいのに!語らせてよ!私に語らせてよー!!!

もしある程度PV数とかシェア数があったり熱烈に「読みたいよ!」って人のコメントとか応援メッセージが多ければ月1くらいでやりますよ!読者次第なんで、なんか言いたいことがあればひとことどうぞ!

役小角: そうなの?では…コホン。忍者の諸君、この後の私の人生聞きたくはないだろうか?なぜ私が修験道を開祖したのか、修験道とはなんなのか、そして忍者とのつながり。今の世にも子孫が残る鬼達の秘密や空飛ぶ方法など、私には伝説が盛り沢山なのです。語らせてください。お願いだよ、語らせてくださーーーーい!!お願いしまーーーーーーーーーース!!!

ちょっとこんしょまるくん、みっともないからやめてw

本日は4月1日です!実際に役小角さんにお会いしたことはないのでNin-terviewの設定は架空ですが、役小角という人物がいたこと、彼にまつわる伝説、そして忍者に深い影響を与えたことは嘘ではありません。忍者を突き詰めて行くと、役小角と彼が開いた修験道は切っても切り離せない要素ですので、時間があれば彼について調べてみてくださいね。

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