忍びの国も大ヒットで、今年の夏は忍者のせいで猛暑でしたね!
しかし伊賀の夏は盆地のせいか、もっと暑い…!
そんなアツい伊賀の地の忍びの国関連史跡を巡ってきましたので、ご紹介したいと思います。
伊賀の上忍「百地三太夫(丹波)」
伊賀忍者たちを襲った「天正伊賀の乱」で奮戦した上忍・百地三太夫(百地丹波)。
彼は伊賀の喰代という地に砦を構え、服部家・藤林家とともに三大上忍と称され、伊賀の地で絶大な勢力を誇っていました。 忍びの国の映画では描かれませんでしたが、原作の方でこの百地三太夫が住んでいた砦について、こう描かれています。
平楽寺を出た無門は、芽吹き始めた麦畑を見ながら久米川のほとりを東に歩き、喰代の里へと帰ってきた。 ・・・百地三太夫の砦、通称百地砦が築かれている。山の斜面を登るように主郭、二の廓、三の廓が配置されている。伊賀国内の他の砦と比べても一際巨大な砦である。高い壁のごとき土塁で覆われた主郭の傍らに、田圃一反の大きさをゆうに超す池がある。無門ら伊賀の下人が忍びの術を仕込まれた丸形池だ。
和田竜「忍びの国」
無門は百地家の下忍ですから、この百地砦に詰めていたものと考えられます。 そんな百地砦がなんとまだなお伊賀の地に結構いい状態で残っているんですよ!
三大上忍の百地様の砦が!これはいくっきゃない!
喰代に来ただけで感激する!
伊賀上野城からは車で約12km走り、やってきたのは伊賀市喰代の地。 一面が田んぼに覆われて、なんとものどかな風景です。
普通なら何にも感じない所ですが、喰代って地名が付いているだけでなんか込み上げてきます。なんてったって忍者だったら誰もが憧れる三大上忍の1人が住んでいた地ですからね…!
すこしだけせり上がっている丘の方へ向かうと、百地砦の看板が見えてきました。
砦のすぐ近く、青雲寺の駐車場に止めるのですが、そこにも石垣が…!本丸までまだまだなのに早速守ってます。実際に当時もこのあたりまで百地さんのお城の範囲だったようですよ。
ちなみにこちらが百地氏の菩提寺であった青雲寺です。
その隣には百度石があり、ここでお百度参り(石〜端まで100往復してお願い事をするお参り)ができちゃいます。
やっぱり”百”地だけにお”百”度参りなのでしょうか。
…す、すいません。バチがあたりそうなので、くだらない考えはしないようにしましょう…
百地さんの不倫で恐ろしい事件が…
青雲寺の裏の方に百地砦への道が繋がっています。なんだか一気に不気味な感じがしてきました…!
2分くらい歩くと、なんやら石と塚のようなものが置いてあります。
ふむふむ…南部女官式部之塚と…。どっかの女官の人の供養塔かな。この手前の祠みたなのはなんだろう。なんかお供えしてあるけど…うわっ!!
なんと…所狭しとハサミがたくさん供えてありました。 正直かなり不気味です…。
この塚は式部塚といって、縁切りのお参りに効果があるのだそうです。
百地三太夫の祖先に当たる人だと思いますが、南北朝時代の百地さんが朝廷にお勤めをしていて、そこの官女(式部)と恋に落ちたのだそうです。 でもその時、百地さんは妻もいて、嫉妬に狂った百地妻はその式部を古井戸に投げ入れて殺してしまったのだとか。 これを供養するための塚として、式部塚とされ、誰にも見られずにここにハサミを置くと縁を切りたい人と縁が切れるのだそうです。
最近ニュースでも不倫のスキャンダルが多いので、この式部塚がフィーチャーされる日も近いかもしれません。
ついにお目見え!百地砦!
式部塚をちょっと駆け足で後にすると、百地氏城跡の案内板が見えてきました!
ここが南虎口となっているようです。結構高い土塁が見えます。当時はもっと積んでいたのでしょうね。
そして虎口を突破するとそこに百地丹波守城趾の碑が! 第二次天正伊賀の乱の際に綺麗に焼き払われてしまったのでもう跡形も残っていないですが、ここに城があったのですね!
こちらは北東に位置する虎口。 なんだか向こうから今にも下山家の忍者たちがうようよと押し寄せて来そうな予感すらします…!
でもこれだけ高い土塁を積んでいれば、その上から吹き矢とか焙烙火矢をぶち込めば、砦に寄せ付けずに撃退できそうです。
先ほど申し上げた通り、上の写真に写っている黄色い部分一帯は百地城の範囲だったようです。 これはなかなか当時にしても珍しい、大きな砦ですね。 近くには丸形池もあり、これが百地砦における掘の役割を果たしていました。
これが忍者達が修行したと伝えられている丸形池…!ここで水遁の術をやったのでしょうか。今にもぴょこっと竹の筒が飛び出して来そうな雰囲気ですね!
ちなみに忍びの国の原作でしか出てこない「鉄」という少年は、この丸形池のほとりに住んでいました。
なんて攻めづらい百地砦!
これは百地砦の一番高いところから喰代の地を見渡した景色です。
かなり遠い範囲まで一望でき、近隣の伊賀忍者達が小競り合いで攻めて来ても、行軍をよく見ることができます。 こんなに眺めがよく大きい砦…やはり相当力をつけていたに違いありません。おそるべし伊賀上忍・百地三太夫!!
ぜひ一度、百地家以外の家に仕える忍者になった気持ちで、この百地砦に潜入するシミュレーションをしてみてください。 ここにもし見張りがいたら・・・とか考えながら歩を進めると、なかなか攻めづらい砦であるとわかると思います。
でもそんな風にシミュレーションする時は、ぜひとも1人で行くことをオススメします。 もし旦那や妻と一緒に行ってそれやろうとすると「この人何やってんの…」って愛想つかされて、式部塚でハサミ置かれちゃいますよ!
世界各地で活躍する諸将の皆様へ、Ninjack.jpを通じて各地の忍者情報を密告する編集忍者。忍者に関することであれば何でも取材に馳せ参じ、すべての忍者をJackすべく忍んでいる。