TVアニメ「信長の忍び」アフレコ現場で重野なおき先生のインタビューしてきた!

約5分間のオンエアにもかかわらず、毎回大河ドラマ3話分くらいの濃さを感じるアニメ「信長の忍び」。

原作のストーリーの素晴らしさと、その濃さを短時間にぎゅっと濃縮するアニメ監督やスタッフ、そして声優陣の努力の結晶が、毎回毎回1つの素晴らしい作品を生み出しているんだろうなーと思いますが、その裏側はどうなっているのでしょうか?

今回特別に「信長の忍び」アフレコ現場に潜入してまいりましたので、その様子をお伝えいたします!

なお、さすが忍者を題材としたアニメですから、スタッフや声優陣の姿は撮影できませんでしたので、イメージ画像と文章で雰囲気をお届けいたします。

もっとイメージが湧きやすいアフレコの様子は、信長の忍び公式サイトにて、「きた」さんという方がわかりやすく、そして楽しくイラスト付きでレポートをしてくれていますのでぜひこちらをご覧ください!

アフレコ現場はプロの集まり!

やってきたのは、都内某所にあるひっそりと忍ぶように隠れたスタジオ。

秘密の合言葉を言うと中に通していただき、監督や美術監督、音響さんや関係者が作業する部屋(コントロールルーム)にご案内いただきました。

ガラス越しには、声優陣がキャラクターに命を吹き込む聖なる部屋が見えます。

うわー!このルーム、メカメカしててかっちょいい!…ん?あれはもしや…

信長の忍びの台本が…!

もう忍びファンにとっては記念に一冊持って帰りたいくらいのシロモノ…!

得意の忍術を使って持って帰ろうかと思いましたが、ここは優秀な忍者がいっぱいいそうなのでやめておきました。

今回は原作でいうと第3巻の後半、アニメでは第35話〜38話のアフレコ。

北畠具教と千鳥が一騎打ちする激アツなシーンであるとともに、まだ原作でも描かれていない「天正伊賀の乱」への布石ともなる伊賀者の千鳥にとってはとても大事なシーンです!

このアフレコの様子は、きたさんが描かれた信長の忍びアフレコレポート第10回 に詳しく載っています!

アフレコの様子も雰囲気も、すごくわかりやすく伝わる天才的なレポです!

声優陣の滑舌の良さに驚愕…!

開始時間が近づくに連れて、声優陣が次々と集まってきました。

うわぁ、千鳥役の水瀬さんかわえぇぇ!信長役の羽多野渉さんかっちょえぇぇ!キャー、三森さーん!福嗣くーん!

と、心の中で叫びまくっていましたが、改めて思ったのはほんと豪華な声優陣だということ…。贅沢すぎますね!

モニターに絵コンテが映し出され、それに合わせて声優さんが声を吹き込むのですが、なんともテンポの早いこと早いこと!

普段、放送を見ている分には非常に心地良いテンポで楽しませてもらっていましたが、これ、実際に喋るとなると、とてもじゃないけど素人では口が回りません。

「のぶながさま」とか「ながまささま」とか「ねねどの」とかあのスピード感で、かつ、落ち着き持ってハッキリ聞こえるようにするのは結構至難の技…

でもさすがのプロの声優陣、みなさん、なんなくこなしていきます。

驚いたのはほとんどNGがなく、収録がとってもスムーズに進むこと!

あっちゅう間に終わってしまいました。

なんで初めて合わせるのにあんなにスムーズにいくんだろう…間の取り方とか難しくないのかな?

と思っていましたが、教えてもらったところ、各役者が話す時のサイン(ボールドというらしい)が表示された絵コンテを切り貼りして簡易的に撮影した動画を、事前に役者の方に送っておくのだとか。

声優さんたちはそれを見て各自練習し、収録に臨んでいるのだそうです。

てっきり事前に台本は読み込むものの、テンポや間、尺的な部分は当日に監督や演出の指示のもと初めて合わせるものと思ってましたが、どおりでタイミングなどもバッチリなわけですね!

監督の負担が大変そうですが、収録現場をスムーズに進行させる事前の仕込みに脱帽でした。

それにしても、千鳥役の水瀬いのりさんがちょっと間違えたときに、そのままの声で「うえぇ..」って言うのが可愛すぎてどうしようもない…あと高木さんの足利将軍のマジでウザい…!! (笑)

音響スタッフさんが仕事できすぎてやばい!

収録現場を見学させていただいてかなり感動してしまったのは、ミキサーと呼ばれる音響スタッフさんの手際の良さ。

声優さんの声をその場で編集し、カットしたり繋いだりして、見事にアニメーションと音を合わせて、テキパキと完成させてしまいます。

思ってた収録現場と違った…!こんなにデジタルな現場だったなんて…

このマウスさばき、後ろでずっと見てても飽きないくらいの職人技!

リテイクの際も瞬間的にそのシーンへと巻き戻し、非常にスムーズに収録が進んでいくんです。

人知れず重要な仕事をしているミキサーの方…まさに忍び…!

大地監督の神采配がうなる!

そして全体が見える場所に君臨していたのが、この場を取り仕切る大地監督。

サクサクと進むんですが、「ここぞ!」って大事なところはしっかりこだわって、的確な指示をバシバシ出していきます。

普段はニコニコして楽しそうな人だけど…仕事しているその姿は、まさにアニメ界の巨匠!

確かに監督の指示のとおりに微修正をかけていくと、どんどん精錬されていくんです。特にギャグアニメでもあるからか、なるべく冷たくツッコミしないように意識しているのを感じました。

この采配が絶妙なテンポや原作の面白さを引き出し、TVアニメ「信長の忍び」の作品としてのクオリティを上げているんですね。アニメを作るプロの方々がこれほどまでにかっこよく、輝いているとは全く今まで知りませんでした。

そして完成されたこれらの回をすべて拝見しましたが、やはり綺麗な絵とBGMが入るとやっぱり最高の出来!

多くのプロによる匠の技により、僕たち視聴者の元へとこんな素敵な作品となって届けられているんですね。

原作者・重野なおき先生のインタビュー!

アフレコ現場には必ずいらっしゃるという「信長の忍び」原作者の重野なおき先生。

収録現場では監督たちの「これって読み方これでいいんですかねぇ」などの疑問に答える時代考証のようなポジションで、現場を嬉しそうに見守っていらっしゃいました。

そんな重野先生に、信長の忍びのアニメおすすめどころを聞くプチNin-terviewしちゃいます!

信長の忍び、いつも楽しく拝見しております!原作とは違うアニメだからこそ見所のシーンなどってあったりするのでしょうか?

重野なおき: それはもう間違いなく殺陣ですね。特に千鳥と杉谷善住坊の一騎打ちは想像を超えていました。杉谷が鋼付きの苦無を投げた後にそれを千鳥が斬るシーン。あそこは漫画よりすごくいいテンポで素晴らしすぎましたね。4コマですと槍捌きや刀捌きの滑らかなシーンが描けないんですが、それらの殺陣シーンがダイナミックに描けるのはアニメならではだと思います。

伊賀者vs甲賀者のあのバトルシーンは最高でしたね!

重野なおき: 善住坊が投げたマキビシを千鳥が避けるシーンがあるのですが、漫画だと普通に跳んで避けているんです。そのシーンをアニメになって見たとき、千鳥がただ跳ぶのではなく、くるっと空中で回転しながら避けていたのはかっこよかったですね。大地監督が加えてくれるアニメだからこそ魅せられるアレンジにはいつもやられています。

原作ではギャグが秀逸だと思うのですが、尺の関係上ギャグシーンをなくなくカットしていますよね…

重野なおき: あれは僕も納得しているので全く問題ありません。4コマ漫画には弱点があって、オチを入れると話を止めちゃうんです。アニメでストーリーを続けて見て欲しい場面は、ギャグよりもお話の方を優先してもらうようにしています。

アニメ化されて、各キャラクターの声のイメージは想像と比べていかがだったでしょうか。

重野なおき: バッチリ想像通りでした。たまに全然僕のイメージとは違ったけど、イメージよりも断然良いキャラクターもいます。特に太田牛一なんかはずっと低い声のイメージを持っていたのですが、実際は声が高くてだいぶイメージと違いました。でも「これは確かに太田牛一だわ」と納得してしまいました。

太田牛一、確かに見事にハマってましたね!前回大地監督のインタビューをさせていただいたときに、3話で千鳥が塀を越えるシーンでの鍔か柄か問題…あれの真相を聞いてもよいものでしょうか?笑

※鍔か柄か問題はこちらをご覧あれ!

重野なおき: あぁ〜あれ読みましたよ(笑)僕はそんなにこだわっていなかったのですが、子供の頃からイメージで「柄」になってたんですよね。昔見た忍者漫画か時代劇だったと思うのですが…だいぶ昔の記憶だったのでひょっとしたら本当は鍔だったかもしれませんね。うん、きっと鍔でしょう。大地さんの方がそこは詳しいので僕が折れます。鍔でいいです(笑)

鍔か柄か論争に決着がついてしまいました(笑) 先生は歴史物を描かれるときに、過去の小説は読まないようにされていると伺いましたが本当でしょうか?

重野なおき: 読まないですね。(信長の)忍びを描く前にちょっとだけ読んだのですが、古い小説になると歴史的に明らかな間違いが描かれていることがあるんです。昔はネットもなかったですし、研究も進んでいなかったからだと思います。また、作家の先生方のオリジナル解釈が入っている場合もあり、それを参考にすると歴史的事実とは違うことを書いてしまうことになるので、基本的には読まないようにしています。

重野史観で描かれているということですね!「信長の忍び」における忍者や忍術の描写において、心がけていらっしゃることなどはございますか?

重野なおき: 基本的に戦国時代とリンクさせているので、荒唐無稽な忍術は描かないようにしています。ただ、巷では「こんなの使わなかった」と言われていても、人間が使うことができそうなモノであれば使っていますね。

忍者については、千鳥・助蔵・千代女・杉谷善住坊と4名ほど出てくるのですが、そのキャラクターにあった武器を使うようにしています。そのキャラに入り込んで、これは使う、使わないを決めていまして、似合わない武器は極力使わないように考えていますね。千鳥って基本的に武器のパターンがあまりないんです。刀と手裏剣、あと苦無くらいかな。今後は助ちゃんを忍者の道具をいっぱい使える忍者にしていこうと思っています。

今後の助ちゃんの活躍が楽しみすぎる…!では最後に、もう何度も聞かれているかもしれませんが…天正伊賀の乱がどのように描かれるのかが気になりますが、どんな感じになりますか?(言って欲しくないですけど…笑)

重野なおき: 方向性は考えてはいます。だいぶ先になりますけど楽しみにしていてください(笑)

大変楽しみにしています!どうもありがとうございました!

謎の漫画家「きた」さんにも直撃インタビュー!

毎回アフレコ現場の様子を楽しくレポってくれる「きた」さんにもお会いできましたので、プチインタビューさせていただきました!

いつも楽しく読ませていただいております!が…こんなこと聞くのも失礼なのですが、きたさんは一体何者なのでしょうか…?

きた: わたしはただの重野先生のファンです(笑)

え、そうだったのですね!

きた: 好きな漫画家の先生がTwitterで信長の忍びをオススメしていたので、読んでみたらかなりハマってしまいまして…

その後、重野先生作品のファンアートをひっそりと描かせてもらっていました。

どのようなきっかけでレポートを担当されることになったのですか?

きた: ヤングアニマルの編集者・大野木さんにお声がけいただきました。大野木さんがアフレコレポートを誰にお願いするかを重野先生と相談された際に、重野先生から「こんな人がいる」と紹介いただいたみたいでして…なんとアフレコの3日前に連絡が来てかなりビックリしました。まず連絡来たときに絵を書きすぎてて怒られるんじゃないかと思ったのと、3日後っていうのも相当急でしたね(笑)

そんなこともあるんですね!普段は何をされているのでしょうか?

きた: 普段は普通の会社員で忍んでおります(笑)一切会社の人にはバラさずに、忍びとしてやらせていただいております。熱量は多分こっちの方が多いと思います(笑)

とっても忍者ですね(笑) 実際にアフレコ現場を見てみると、あの現場をあれだけ面白くレポれるのってすごいなー!って改めて思ったのですが、どんな風に書いていらっしゃるのですか?

きた: 収録の中で毎回やっぱり必ず印象に残るシーンが出てくるので、それは必ず入れるようにしています。加えて、アニメを見ているだけだとわからないシーンをしっかり伝えて、アニメの裏側で「こんな場面をみんな楽しんでたんだ」というのがわかるようにしています。今日だと助ちゃんがイヒイヒしてて、それを声優さん達が笑っているところとかですかね。

あとは休み時間での会話も逃しません。声優さんたちの作品について話している内容とかも拾ってお伝えしています。

信長の忍びファンにとって重宝される忍者ですね!間近で全部のアフレコ現場に参加していていかがでしょうか。

きた: 本当にみなさん楽しそうに仕事していらっしゃいますし、ご自身が担当されているキャラクターに愛情を持ってやっていらっしゃるのがすごく感じられます。作品のファンとしてはそれがものすごく嬉しいですね。

この現場には作品への愛がたくさん詰まっていますよね。どうもありがとうございました!

まさかアフレコレポートを書いている人まで忍びだったとは…この現場おそるべしです!

TVアニメ「信長の忍び」はいよいよ金ヶ崎編へ!

実際にアフレコ現場を拝見させていただき、これだけアニメ制作の裏側を見た後にオンエアを見たのですが、不思議なことに全くもって裏側を感じることはありませんでした。

声優さん達が話している姿はしっかり目に焼きついているのに、アニメではどうしても千鳥だったり信長だったりのそのキャラクターが話しているようにしか思えないんです。

これもやはり制作陣の作り手のなせる技なのでしょう。視聴者を引き込むアニメ…やっぱりすごく面白いです!

さて、大人気放送中のTVアニメ「信長の忍び」は、伊勢での北畠具教との死闘を終え、ついに金ヶ崎編に突入します!

おそらく天下人である信長と秀吉の人生における三大危機を挙げるとすれば、この金ヶ崎の戦いはランクインするほどのターニングポイント。

アニメではどれほど臨場感のある死闘を繰り広げてくれるのでしょうか。この後出てくる個性溢れるキャラクターにも注目です!

今後の信長の忍びもお見逃しなく!

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