職人が打ち鍛えた道具や刃物の魅力を知って欲しい 〜四季の森武道塾・柔兵衛影武者「日向國鐡座」〜|Nin-terview #035

今回のNin-terviewは、四季の森忍術道場の日向國鐡左さん。

忍者が昔よく使ったとされる「鉄」を司る忍びの生き様をお届けいたします。

すべての忍者をJackするインタビュー企画「Nin-terverw」第35弾をお楽しみください!

四季の森へ娘を生贄に

えっと…あなたは柔兵衛先生でしょうか…?それとも鐡左さん?(なんて読むんだろう…)

日向國鐡左: 鐡座の方です♪ 名前の由来は、我が家の故郷が宮崎県でしたので、旧国名の「日向國(ひゅうがのくに)」。鍛冶屋巡りが好きな左利きなので「鐵左(てつざ)」と致しました。

鐡左さんの方ですね!先日の手裏剣大会団体戦お疲れ様でした!準優勝おめでとうございます。

日向國鐡左: ありがとうございます!大将の京雀さん、副将の恵水さん、そしてみなさんの応援あっての準優勝でした!今後も精進して参ります♪

鐡左さんは最初の方は的に刺さったあとコロコロと落ちてって点数は奮いませんでしたもんね!(笑)普段は何をされているのですか?

日向國鐡左 風貌に似合わず、こども相手の仕事に携わっております♪ ちなみに、うちのこども達の友達からは植木屋と思われているみたいです…。いつも頭に手ぬぐい巻いているからでしょうか。普通にこの格好で生活しているので。去年はズボンとかちゃんと履いてたのに…いつから俺こんな格好になってるんだろう、って最近思い始めました。

確かに植木屋みたいですねw ちなみに語尾に「♪」が多いですが、これも風貌に似合いませんね!

日向國鐡左: これなら角が立たないかなぁ、と♪

見た目との違和感がまた最高です!四季の森に入られたきっかけを教えていただけますか?

日向國鐡左: 柔兵衛先生と出逢ったきっかけは、私が整体を受けに伺ったのが始まりです。背中が痛くて知人に紹介してもらったのですが、そのときは四季の森「葡萄(ぶどう)」塾だと思ってました。随分可愛らしい整体院だな、と思ってましたね♪ いくら探しても葡萄塾がなくて、やっと見つけたのが武道塾でしたね。

整体を受けながら「実は忍者のですね…」と柔兵衛先生が突然忍者の話しを始めまして…「えっ??この人、忍者とか言ってるけど大丈夫かな..?」となりまして、あの時の空間は何とも言えなかったですねー。家に帰って当時小学2年生の娘に「忍者を習えるらしいんだけどやる?」と聞いたら即答で「やる!」と言ったので、娘を先に差し向けて入門させました。

生贄感が満載ですねw ではその時は娘さんしかやってなかったのですか?

日向國鐡左: はい、僕はただの送り迎えのお父さんでした。あるときに自分も入って忍者やることになりましたが、思いもよらなかったですね♪

頭の影武者として散るのなら本望

四季の森には「武道塾」と「天狗衆」と2つ見受けられるのですが、どういう住み分けなのですか?

日向國鐡左: 「武道塾」は先生が主催されている忍術道場のことをいいます。「天狗衆」というのは、定期的に集まって忍者の研究をしたり、道具を作ったりして、忍者(しのび)の体験を通じて生きる力や、四季の森武道塾で伝えている日本古来の身体の使い方などを広める「忍者サークル」と捉えていただければと思います♪

僕は「四季の森天狗衆」のブログを担当しております。アメーバブログで「四季の森天狗衆」と検索すると出て参りますので、お時間がありましたら読んでみて下さい♪ 天狗衆の活動や日々感じたことなどを書いています。

拝見しております!「♪」が多めですよね!それにしても柔兵衛先生の影武者というのは…?

日向國鐡左: 僕の一番の大きな忍務は柔兵衛先生の影武者でござる♪ 最近は近所に買い物に行ったりすると、柔兵衛先生は道場にいるはずなのに「柔兵衛がスーパーにいた」という目撃情報が流れるみたいです。もし柔兵衛先生が狙われたら、先に狙われるのは僕ですね…。本望ですが(笑)

あと、前に先生の娘さん3人を駅まで車で迎えにいったとき、3人が車に乗り込んで顔も見ているんだけど気づかれずに、僕が「いくよ〜」って声を出したら初めて「鐡左さんじゃん!」と気づかれたこともありました。実の娘まで騙せたのはなかなかの術でしたな♪

それはすごいですねww

日向國鐡左: あと最近、分身の術も覚えたんですよ。見たいですか?

(見たいような見なくてもいいような…)ぜひお願いします!

先生までいい歳して何をされているんですか!!笑

日本の鍛冶屋職人の技術は素晴らしい

日向國鐡左: そしてもう1つ。昔から日本の古民具や鍛冶屋さんに興味があり、その素晴らしさを痛感してそれらに逢いに旅をしていた時がありました。その際に身につけた目利き能力を活かして、「がらくた市」で忍者に使える道具などを掘り出す係りにもなっております。

がらくた市とはなんでしょうか?

日向國鐡左: がらくた市をひとことで言うと「野外展示博物館」でしょうか。とにかくありとあらゆる昔の「もの」が溢れています!日本の古民具の機能性やデザイン、温かみ。そんな忘れられた日本の技術の結晶が、このがらくた市に並んでいる道具たちです♪手にとると、本当にすごいなーと思うような手の混んだ作りをしているんですよねー。やっぱり日本人ってすごいなーと思う瞬間です♪

最近は古い着物も結構並んでいて、色合いや風合いがナチュラルが良いですね♪ 天狗衆の装束は「リアル忍者」を目指して、柔兵衛先生の愛娘・美月さんを中心に、忍者装束も昔の生地を活かして作っています。その素材をタイムセールのごみ袋詰め放題で500円以下でかき集めて来ることも、僕の仕事ですね♪

あとは、金物や刃物!これは、鍛冶屋巡りをしながら感じたのですが、日本の鍛冶の技術ってすごいんです♪ 他の国に負けないくらい素晴らしいものを作っている。鍛冶屋も民具作りと同じで、職人さんがかなりの勢いで減っています…。そんな、職人さんが打ち鍛えた道具や刃物が、このがらくた市には転がっているんです。釘一本にしてもいわゆる「和釘」は、発する色の深みや重みが西洋の釘とは違います。釘一本見ていても飽きないですね♪ 鉄が良いのでこういうものを加工すると、とても味のある『忍具』が出来上がります。ちなみにその材料を元に忍具をパパッと作ってしまうのが柔兵衛先生です♪

鍛冶屋巡りの旅というのはどんなことをされていたのですか?

日向國鐡左: 鉄の魅力に惹かれて、全国の鍛冶屋を回ったんです。自分で鉄を打つことはできないと思っていたので、ビデオカメラを回して、職人が鉄を打つ姿を撮りまくっていました。もうその頃から鍛冶職人がいなくなってしまうと言われていましたが、そこからも鉄人はどんどん減ってきています。外国の人の方がその技術の良さをわかっていて、包丁なんかも海外からわざわざ日本のものを求めるそうです。日本人はその魅力に気づいていないことが悲しいですね。包丁は日本刀と同じで、柔らかい鉄と硬い鉄をくっつけているなど、日本に鉄が少なかった時の貴重な技術。日本にしかない日本の鍛治の技術がなくなってしまう危機感から、そんな活動をしていました。

今までもいろいろな忍者道具の復元を協力して下さっている鍛治職人の鍛兵衛さんと言う方がいるのですが、鍛兵衛さんとも今後もコラボして、日本の鍛冶屋の文化と技術の発信と保存、そして忍者道具の復元も行って行きたいと考えています♪

なんか忍者にも通づるものがありますね…。そんな素晴らしいものをがらくた市から掘り出すコツを教えていただけますか?

日向國鐡左: 「アンティーク」「骨董」「がらくた」「屑」などに分類すると、やはり「がらくた&屑」の部類は安価で面白味のあるものがあるので、私達にとっては宝の山ですね♪ 明治期につくられた100円~ウン万円するものまでが並んでいるので、その中からいかに掘り出すか!が勝負どころです。最近は、並んでいる棚の下とか、奥に埋もれているところをごそごそ掻き分けて探しだしています♪ たまに、模造刀や居合刀などもありますが、安いっ!

あと、忍者は農具とか身の回りの道具をうまく武器などにしたと聞きますが、そういう道具は結構ありますね♪ これも安いっ!お値段交渉も常識範囲内でしたらできますし、毎回行っているとお店の方とも仲良くなって、探しているものを次回のがらくた市に並べてくれたり♪ 一緒に回りたい方がいればナビしますよ♪

日向國鐡座にとっての忍者

今後鐡左さんがやっていきたいことなどを教えてください。

日向國鐡左: 本物で味のある忍具や刀などを展示する忍具の博物館を作りたいです。忍者屋敷みたいなところでいろんな道具を並べて、小さいお子さんから年配の方いろいろな方が来て楽しめる場所作りが出来たら良いなー、と考えています。忍者関連の展示を見ても、結構レプリカっぽくて怪しいものが多いです。ちゃんと当時の素材で作った本格的な忍具を集めて、本物に触れて欲しいですね。回想録にはしたくないのですが、日本人の知恵の結晶を集めて、日本の技術の素晴らしさを今、見直して欲しい。本当はこれらはがらくたや屑ではないのです。

鐡左さんにとって忍者とは何でしょうか。

日向國鐡左: 今、忍者というのは幅が広がりすぎていると思うので、みんな忍者でいいんじゃないかと思っています。それぞれの人がそれぞれの良さを発揮していれば、その人は忍者なのではないでしょうか。忍者するときだけ装束を着るとか言うのではなくて、私も普段からこんな格好をしています。忍者は特別なものではなく、日常の中に溶け込んでいるものになってきていると思うのです。これは柔兵衛先生が教えてくれた生き方なんでしょうね。今まで気づきませんでしたが、なんか柔兵衛教に入っているみたいですね…。私の中での忍者とは柔兵衛なのかもしれません…。

さすが影武者…!最後に読者の方へひとことお願いします!

日向國鐡左: 「四季の森天狗衆」は忍者に興味があったり、忍者が好きで「和」=「輪」を大切にできる方であれば、小学校5年生~年齢制限なしで活動に参加出来ます♪ 私もそうですが、親子で参加される方も多いのでお気軽に参加してみて下さい♪ 基本、毎月第2金曜日の19時~21時まで、大和柔兵衛頭領の道場「四季の森武道塾」に集まっています。時には兵糧丸をこしらえたり、裏に拡がる森の中を灯りを使わず歩いたり、武具の研究を行ったりしています。

また、道場の近くにオーガニックと発酵食をコンセプトにした古民家カフェの「菌カフェ753」と言うカフェを中心にしたマルシェの1ブースに忍者体験を開かせて頂いております♪ 

こちらは毎月第3日曜日朝11時~16時。他にもオーガニックや手作りのお店が出ますのでおすすめです♪ ちなみにこのマルシェは『753市』と呼んでいます♪5月には「大753市!」が開催され、沢山のブースが集まりますので是非足をお運び下さい♪

編集後記

日本人の伝統技術に対し、大変な理解と目利き能力、そして危機感を持つ鐡左さん。

常に鉄と生きる、まさに「鐡左」という男でした。

忍者に限らず、日本の伝統を守ること、決して死なせないことは大変重要なことですよね。

これからも柔兵衛先生の影武者として忍びながらも、古き良き鉄の素晴らしさを伝えて行って欲しいです。

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