忍者の海外遠征に紛れ込んで「台湾におけるNINJA受容」を肌感で調べてきた

NINJAは世界中で大人気!

そんな声が聞こえて数年が経ちましたが、果たして本当に忍者は世界に受容されているのでしょうか?

台湾の山奥にある妖怪村というテーマパークで、忍者ショーや体験の出張提供を行っている、京都のNINJA DOJO and STOREさんの海外遠征に着いていき、現地の忍者風を感じてまいりました。

地域によって認識も認知度も違う忍者/NINJAですが、こと日本からも近く親日国である台湾ではどのようにして忍者が受容されているのか…。

あくまで世界の中の一例ではありますが、現地の様子も踏まえつつレポートをしていきたいと思います!

妖怪村はこんなところ!

台湾の首都・台北から新幹線で1時間の台中駅。

そこからまたバスで1時間半ほどかけて山道を登ったところに溪頭松林町妖怪村という施設があります。

日本が台湾を統治していた時代に「久保田さん」という方が台湾に赴任していて、敗戦後に帰国した後もその部下であった台湾人の松林さんと手紙のやりとりをするなど、2人は親交を続けていました。

久保田さんの死後、台湾人の松林さんが久保田さんがゲゲゲの鬼太郎の水木しげるさんと同じ鳥取県出身だったことを知り、ここに妖怪をテーマにした妖怪村を作ったのだといいます。

そのせいか、パークのあちこちには怪しい妖怪がたくさん存在しているのです!

なんだこの妖怪…これってもしかして鬼太郎に出てくる妖怪ポストかな…こんなだったっけ?笑

日本と台湾の親交の結晶ともいえるこの妖怪村には、とても巨大な天狗のお面や・・・

天狗の鼻なげー!!!

目玉の親父の提灯に、がしゃどくろのモニュメントだったり・・・

版権とかどうなってるんだろ…

なんやら鬼太郎ハウスのようなコテージまで存在しています。

ここ泊まってみたい!


妖怪村はたくさんのホテルとロッジやコテージがあるので、台湾に行ったら1泊旅行には最適です!

こ…これはシンデ◯ラのやつじゃ…なんでもありかーいw

妖怪村のお食事はとっても美味しく、台湾料理がたくさんでてきますので宿泊にはおすすめですよ!

あまり良くない意味で特にオススメはこの「臭豆腐」。

この臭い…本当に食べ物なのか!?

いろんな価値観がすべて吹っ飛びますので、生きているうちに一度は食べて見たほうが良いと思います!

すこぶる人気だった忍者ショー!

なんやら旅レポみたいになってしまっていますが、大事なのは台湾での忍者受容がどのようになっているかということ!

今回は伊賀上野城で月2回のおもてなしや各地でパフォーマンスショーを行っている忍者集団「華武姫」と大阪で活動する「河内忍軍」の混合チームによる忍者ショーです!

スペシャルチームの忍者さんは写真の右から以下のとおりです。
柚稀
・木猿
黒影
ぬん
正莊
あげは

伊賀で流行っている(?)忍者的体操「忍ニン体操」の普及を謀るショー担当のみなさん。

台湾のお子さん達も一緒になって踊ってくれています!

スモークを効果的に使った圧巻の忍者殺陣パフォーマンスからも目が離せません。

小雨が振っているにもかかわらず、ステージの周りには観客がたくさんでした。

写真撮影タイムでもスマホのシャッター音が止むことがないくらい、なかなかの忍者人気。

現地のコスプレ美女軍団達もリハーサルを真剣に見ていました。

現地のMCさんやスタッフさん達と協力して、2日間で合計4回のステージをこなしたショー担当忍たち。

やはりショーはすごく人気で、観客のみなさんは非常に喜んでくれていましたね!

手裏剣や吹き矢もハマる人続出!

日本のイベントなどでもおなじみ、手裏剣と吹き矢を体験してもらうコーナーも設置して、台湾の皆さんに楽しんでもらいます。

NINJA DOJO and STOREの代表、市川伊蔵さんが丁寧に教える手裏剣打ち。

小さいお子さんから綺麗なお姉さんまで、みんな楽しそうに手裏剣をぶっ放します!

浅草のNINJA SAMURAI DOJOで道場長を務める武道進太郎さんも、日々の外国人体験の経験を生かして丁寧に教えていらっしゃいました。

そしてなんと行っても盛り上がったのは吹き矢!

上手い人は10mくらい離れた場所からスコーンと的を吹き抜き、周りの観衆を湧かせます。

スゴイ人は同じ箇所に命中させて、極技「Arrow on Arrow」を炸裂させるなど、台湾の方はかなりの術者でしたね!

体験を終えるとみんな写真撮影を求めます。

本当に楽しそうに忍者にふれあい、笑顔で帰っていく方の多いこと多いこと!

お風呂がひっくり返ったような雨だったのですが、手裏剣やTシャツ、ゴムクナイなどを嬉しそうに購入して帰られていました。

台湾で売ってるこのカッパ、最高だろ…ちょっと欲しいw

妖怪村の夜といえば「百鬼夜行」!

夜になると、妖怪村の名物で夏休みの期間中に行われる「百鬼夜行」を模した妖怪パレードが始まります!

雷神(?)やなまはげの妖怪くんたちのダンスのあと、広い妖怪村を大勢の妖怪達が練り歩きます。

こわっ!ちょっとこれは泣き出すレベル…!

キョンシー三兄弟がカワイイw

なんかすごくカワイイ女の子のコスプレ集団が来た!これは憑かれても後悔しない!

中国の会社が作った妖怪たくさん出てくるスマホゲーム「陰陽師」に出てくるキャラ(黒無常)のレイヤーさんまで!

忍者の人達も妖怪として扮し、行列を見学している観客を大変喜ばせていました!

自分も2日目はカメラを捨てて、ゴエモンに出てくるえびす丸みたいな泥棒に扮して行列に参加したのですが、小さい女の子を驚かせたらギャン泣きしてしまいました…。

もしかしたらトラウマを植え付けて、今後忍者を見るたびにその子は嫌悪感を抱いてしまうかもしれません。

お嬢ちゃん、本当にごめんよ。。忍者は本当は悪いやつじゃないからね…

忍者は誤解されやすいので気をつけなければならないと反省しました。。

本当にごめんなさい。。

伊蔵さんに台湾で忍者を広げる意義を聞いてみた

台湾遠征をずっとコーディネートしているNINJA DOJO and STORE代表の市川伊蔵さんに、お話を伺って見ました。

今年で遠征5回目ですが、台湾で行った忍者体験の反応はどうですか?

市川伊蔵: 台湾での忍者は日本ほど馴染みは無いとはいえ、手裏剣を投げ出すと皆さん興味津々です。ちびっ子から年配の方まで手裏剣を楽しんでいただきました。どこの国でも忍者体験する時の笑顔は皆さんステキですね。

もし忍者に馴染みのない国だったとしてもその点は万国共通で、実際体験してもらうとキラキラした目で楽しんでもらえます。忍者を広めるためには、忍者体験をする機会、ショーを観る機会、すなわち異国の文化に触れる機会が重要なのではないかなと思っています。台湾の他にもスウェーデンにも遠征したことがあるのですが、これまでの忍務で「忍者は国境を越える!」と確信しています。スポーツ、音楽、文化、芸術は国境や人種を越えるといいますが、忍者もそうだなと思っています。

海外の方に忍者を伝えるのに大切なことはなんだと思いますか?

市川伊蔵: 日本はおもてなしの国などといわれますが、実は迎え入れてくださった妖怪村のスタッフの方々には、斜め上を行くおもてなしを受けました。どこの馬の骨とも分からない異国の忍者をこんなに丁重に扱って頂き、本当に本当に感謝しています。親日という事もあるかと思いますが、それ以上に人と人との繋がり、結びつきを心から大事に思っていらっしゃり、その心の表れなんだろうと感じました。言葉は通じませんが、心は通じ合った瞬間でした。

やはり国の違いなど関係なく、人と人は心です。うちの道場に来るお客さんとは本当に一期一会で、次日本に来るかどうかも分かりません。その人にとっては一生に一度の機会かもしれません。この気持を忘れず、人と、お客様と接していきたいと思っています。その機会を大切にし、時間の許す限り心から接することで、忍者を日本文化を、そして和の精神を伝える事を大事にしていますし、大事なのではないかと思います。

海外の方に忍者のどんなことを伝えたいと思っていらっしゃいますでしょうか。

市川伊蔵: 忍術はどのような環境下でも生き抜くサバイバル技術の集大成と捉えています。この混沌とした世界を武力による解決ではなく、平和裏に物事を解決し、共同体として支え合って、自己の心の中に幸せを見出すということ。いずれも忍びが培ってきたスキルと精神(正心)です。これらを少しでも多くの人に伝える事が出来ればと思ってやってきています。忍者文化の伝道師として「平和術〜戦わずして平和的解決に導く術〜」「総合生存術〜いかなる状況でも生き延びる術〜」である『忍道』を伝えるため、これからも世界中に発信していきたいと思います。

海外からお呼びがかかればいつでもどこでも伺う所存です。国内の事業が落ち着けば、ひとつの社会貢献として、海外での活動を増やしていきたいと思っています。

ありがとうございました!

アウトバウンドが結構重要なのかも

オリンピック招致に伴うインバウンド需要や地方創生の流れから注目が集まる忍者/NINJA。

ただ少し思うのは、東京オリンピックの開催を堺にこの忍者ブームは急速にダウンしていくのではないかという不安です。

それは訪日外国人の急増というのは上記を理由にしたものであって忍者ではない需要で作られたもので、あくまでその恩恵に預かっているだけなのではないか、と思うからです。

なのでインバウンドという魔法のワードにあぐらをかいて何もしないでいると、10年後、忍者はどうなっているかわかりません。

そんな仮説をもって今回台湾に行ってみましたが、忍者に触れれば楽しんでくれるということはわかりました。

ただ一方で、逆に言うとその忍者に触れる機会を提供しなければダメで、忍者に関わることはほとんどないし、興味を持ったりもしないだろうな、ということでした。

お子様の中には「なにあれ?」という顔をしている子もいましたし、忍者というものがそこまで根付いていないのでしょう。

このように忍者が身近に触れられるような機会を絶え間なくいろんな国に提供していくことが、長い目で見ると重要なんだろうなぁ、というのが今回学んだことでした。

訪日外国人4000万人といっても、それでもすごい数字ですが、全世界の人口からしたら1%にも満ちません。

その全員が忍者目当てで来ているわけでもありません。

忍者が世界に誇る文化なのであれば、日本に来ない残り99.5%人達にもその魅力を伝えていかねばならないはず。

実際に現地に行くべきかどうかはともかく、どんどん海外に討って出るアウトバウンドこそ今後求められるかもしれません。

忍者はその仕事として先手の夜襲を担うなど常に先陣を切ってきた存在です。

忍者たるものどんどん討って出て行き、その和の術で世界の人々ともっと仲良くなりたいところですね!

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