「忍者」にまつわる特許や商標を集めてみた 〜特許・実用新案編〜

突然ですが、昔の忍者たちが様々な忍具や火器を開発した発明化集団であったのをご存知ですか?

そして闇夜に溶け込むための忍び装束だって、思考錯誤に錯誤を重ねた上でのベストプラクティスでした。 そこには昔の忍者たちの、いろんな工夫やアイデアが詰まっていたことでしょう。

昔の忍者は、これらの技術がバレないように口伝で伝えていき、任務を有利に運んで行きました。

でも平和な現代日本においては、忍者よりも商人がほとんど。自分のアイデアを使って世に知らしめることで人々の生活が豊かになり、経済が発展して行きます。

ですがアイデアはパクられるのが今の世の常。

うぅ…せっかく考えて作ったジェット水蜘蛛がパクられて、あの里の忍者が儲かってる…!こんなんじゃもう新しいこと考えるのやめよう…。山に篭って滝行するだけの人生を送ろう…

ってなっちゃうと、経済も発展しなくなってしまいますよね。

ということで、経済や文化の発展を目的として、現代の日本において、人々が考えたこれらの「形になったアイデア」を守るために「知的財産権」という権利が認められています。

知的財産権の中にも「特許権」「実用新案権」「著作権」「意匠権」「商標権」・・・など様々な権利があるのですが、この中で特許庁に登録することで「これからあなたが権利者だから、あなた以外のパクリだね」って認めてくれる権利のうち主なモノが以下の3つ。

特許権:新規の発明に対する独占権
意匠権:物品の形状・模様・色彩のデザインの独占権
商標権:商品やサービスのマークや名称の独占権

これらは必ず特許庁に登録されることが認められないと、権利を主張することができません。

そのため、特許庁のホームページなどではこれらのアイデアの種たちが登録されて公開されているんです!

え、この前考えてたこのアイデア登録されてんの?先にやられた!

とか

ぶはっw こんなアイデア考えつつしかも出願費用まで払って登録する意味わかんないw

ってものもあれば、時には

このアイデアをあそこの会社が登録しているってことは…こんな内容の新商品が出るのかも!

ってものまで、特許情報を見ているといろいろおもしろいんです。

前置きが長くなりましたが、本日はその中から「忍者」にまつわる特許権・実用新案権の中で登録されたおもしろいアイデアたちをご紹介していきます!

ちなみに特許権の派生的な権利として実用新案権というのがあるのですが、これは既存の特許発明をより使いやすくする為のアイデアを保護し活用する為の権利をいいます。

もともとある特許発明をより使いやすくする為に形に工夫を加えたり、既存のものを特許発明と組み合わせるとこんなに使いやすくなると言ったアイデアを具体化したものが実用新案なんですね。

忍者ファッション(2002年登録)

こちらは「忍者ファッション」というアイデアの実用新案権です。

これの発明の目的と、いったいどこがアイデアのミソなのかというと…

最大の目的はファッション性である。従来は着替える事でファッションを楽しんで来たが、今後は着替えなくても、その寸法や形態でファッションを楽しむ時代である。美しいものは、花鳥風月ばかりではない。自分の個性あふれるフッションで、自分が美しいと思えば、それがほんとうの美しいものである。そして、自ら感動して、若さと健康を増進させる力となるのである。

発明の目的

複雑なメカニックなどを用いずに、紐とその紐を止める為のストッパー具、更に紐を一定の位置にとどめおくガイド糸の3点で瞬時に衣類の寸法と形態を変えるのである。スボンやスカート等の裾を上げれば、そのエッジは平面的でなく大きな波形や、しぼり紋様となり、これまでに見た事のない風合やシルエットとして生れ変るのである。

発明のミソ

いきなりファッションの発明がきました。2002年の頃は重ね着やソフトモヒカンなどが流行っていましたが、その頃にこんな捲り上げズボンみたいなのが出願されていたとは…。

こんな機能のズボンは見たことあるような、ないような…って具合なので、商品化まで至ることでこの出願者が言う「自ら感動して、若さと健康を増進させ」た人がいるかどうかはわかりません。

この3段階捲り上げスタイルズボンを「忍者ファッション」と名付けた出願者の意図が…知りたいですね…

「美しいものは、花鳥風月ばかりではない。」ってコメント余計なんじゃ…笑

パチンコにおける忍者アクション(1996年登録)

こちらは忍者のワードが入っている中では一番古い特許権

なんとパチンコの画面上で忍者が小刀を投げるアクションが特許化されています!!

リーチ時に表示されるキャラクタ画像に一連の動きを持たせると共に、その動きの進行を遊技画像の表示結果等に対応して制御し得る可変表示装置を備えた弾球遊技機を提供することにある。これにより、遊技者は、図柄変動と共にキャラクタ画像の動きを見ることで大当りか否かを判断することができ、リーチ状態における視覚的な興趣が向上できる。

発明の目的

キャラクタ表示部61の忍者61aが忍者61bに小刀を投げつけるまでの一連のキャラクタ画像データを含む複数のキャラクタ画像データを基本回路内のROMに記憶し、第1から第nまでのキャラクタ画像データを用いた表示画像i・j、及び第1から第n-mまでのキャラクタ画像データを用いた表示画像hを各図柄表示部32a~32cの変動に応じて表示する。

発明のミソ

記載は難しいですが、簡単にいうと画面下部の忍者が投げる小刀が敵忍者にあたるかどうかで、上のスロットにおける当たりがわかる!っていう内容です。

自分はスロットはやりませんが、何度か見たことはある限りだと今ではこのようなアクションは当たり前ですよね。

この特許の出願者さんは有名なSANKYOさんですが、もし他の会社が忍者モノのスロット機を作るときは「忍者が忍者に小刀を投げるアクション」はSANKYOさんに許諾を取らないと使えないということになります!

パチンコ業界ってこのリーチアクションの権利争いすごそう…ってか忍者61aと忍者62bって現代忍者のコードネームみたいでかっこいい!

忍者役がある戦国麻雀!(2000年登録)

これはなかなか面白そうな卓上ゲーム「戦国麻雀」みたいなゲームシステムが出願されていました。

役の構成を容易に判断でき、また、得点の計算を容易に行うことができるにも係わらず面白みがあり、また、子供から大人まで広い年令層にわたって楽しむことのできる卓上ゲーム用具を提供する。

発明の目的

卓上ゲームを構成する牌を、同一又は所定の牌を組合せることによって役を構成し、得点が与えられる役牌5と、単独で又は所定の牌を組合せることによって所定の機能を有する機能牌7と、単独で又は所定の牌を組み合わせることによって得点が与えられる得点牌8とに分類するとともに、これらの牌の役の構成、機能、得点の一部又は全部を識別できる表示4,15を、上記各牌及び/又は卓の表面に設けて構成した。

発明のミソ

基本的なゲームルールは「役を揃えて得点の高い人の勝ち」という麻雀と同じ基本ルールのもと、特許上はそれ以上の細かい役の得点配分などは汎用的にしているようです。その中で2個だけある忍者牌をどのようなルールで用いるかは、ゲームメーカーの腕にかかっています。

例えばの役ですが「徳川家康+忍者+忍者を揃えたら、役名「伊賀越え」が成立してすごい得点がもらえる!」とか、いろいろ考えられて面白そうですね!

出願者は歴史好きだったんだろうなぁ。ってか忍者だけを集めた麻雀チックなゲーム「忍ジャラ」を作りたい…!

最新の手裏剣ソックス!(2016年登録)


これは去年登録された特許で、その名も「靴下からなる忍者関連品を模した成形商品」。こちらの特許を使った商品は昨年販売済みのようですね。

足元に見える薄いラインが折り目となっていて、その通りに追って行くと右画像のように手裏剣スタイルにすることができるんです!

こちらはまだ商品化がされていないかもしれませんが、巻物バージョンも特許の範囲としては入っています。

今後巻物バージョンの靴下も出てきたら、ぜひともこれを口にくわえてドロンごっことかやってみたいですよね!

でも洗濯する前に巻物風に畳んで口にくわえると臭いのでやめましょう…!

ってかこの会社、他にも甲冑靴下などいろいろ作られていてすごく面白いです!

マグネットにくっつく忍者人形(1985年登録)

これは忍者ワードで出願された中では一番古い実用新案権ですね。

忍者衣装を着せた磁石付き人形で、2番部分の磁石のおかげでくっつく人形です。もうこれだけのシンプルな出願だったので実用新案公報のサマリーは載せませんが、とにかく説明の絵が可愛いですね!

こちらの出願者は長野県の上田市にある、民芸品制作を手がける上田民芸社さん。いまは「上田民芸社いろどり」と名前を変えているみたいですが、公式サイトを見てみたところ通販対象として忍者磁石人形は見つけられませんでした。

しかし…この上田民芸社さん、なんと忍者村とかに行くと必ずお土産で見かける忍者の和紙人形を作っているところではありませんか!

これの吸盤ついているやつ持ってる!ってか実用新案公報に載ってる忍者人形にすごく似てる…!

実用新案公報には出願者の名前が書いてあるのですが今の経営者とは苗字が一緒で名前が違うので、どうやらその出願者の娘さんらしき方が受け継いで運営しているようです。

きっとお母様が一生懸命考えて考案した忍者人形だったのでしょうが、今磁石はついていないものの、娘さんがそのアイデアを受け継いで吸盤をつけて、忍者人形を世の中に届けてくれているのでしょう。

この実用新案権が登録されたのは自分が生まれる前ですが、むかーし昔に小さな民芸屋さんが忍者について閃いた小さな小さなアイデア

これが今もこの世に受け継がれて、可愛い可愛い忍者の小さな人形を作り続けてくれているんですね。

なんか今に繋がる短いけど確かにある忍者を通した歴史を感じて、ちょっと感慨深くなってきました。忍者に関する発明の歴史と今を見て行くと、イノベーションの後にもちょっとしたドラマが見えるようです。

ちょっとジーンときたところで、次回は忍者に関する意匠と商標についてご紹介したいと思います!

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