典型的な甲賀の土豪の姿を見つめることができる史料群。
甲賀流忍者調査団ニンジャファインダーズによる資料調査報告の三冊目、四冊目となる本書は、前二冊の尾張藩甲賀者史料から別の藩へと視点を移し、和泉岸和田藩の甲賀者「上野家」に伝わる史料群となっている。
和泉岸和田藩で「甲賀士五十人」を勤めた上野家は、同じ名字の者が集まって運営する地域の自治組織「同名中」のひとつである「上野同名中」の構成員だった。この同名中は中世以来の甲賀の土豪によくみられるもので、上野家は典型的な甲賀の土豪であったと言える。
江戸時代における甲賀者の在り方は非常に多彩であるため、この一冊だけで忍びの働き全てが理解できるわけではないが、271点という豊富に残された史料群から、甲賀古士の活動や地域の有力家の性質を読み解くことができる。
先に刊行された『渡辺俊経家文書―尾張藩甲賀者関係史料―』、『甲賀者忍術伝書 ―尾張藩甲賀者関係資料Ⅱ』と比較することで、各藩ごとの甲賀古士の方向性の違いも見ることができる。
タイトル | 上野太真記家文書-岸和田藩甲賀者関係史料- |
編集 | 滋賀県甲賀市教育委員会 |
発行 | 滋賀県甲賀市 |
発行日 | 2019/3/31 |
タイトル | 上野太真記家文書Ⅱ-岸和田藩甲賀者関係史料- |
編集 | 滋賀県甲賀市教育委員会 |
発行 | 滋賀県甲賀市 |
発行日 | 2021/2/22 |