最後の忍者KAWAKAMIの書籍が出版!
Ninjackでも幾度となく紹介させていただいている甲賀伴党21代目宗家・川上仁一氏。 6歳の頃に福井の町で先代と出会い、気づいたら甲賀流忍術の一流「伴家忍之伝」を正当に継承していた御仁です。 セミナーやイベントではその経緯や伴家忍之伝に伝わる内容を断片的にはお伺いしましたが、いつかは体系的に網羅的にお話聞いてみたいな、と思っていました。
▼山田雄司×川上仁一「忍者の歴史と修行」-企画展「The NINJA」忍術学講座-
ですが、なんかその必要はなくなってしまったかもしれません。 なぜなら、そんな体系的で網羅的に川上仁一氏の生き様や忍術の内容をつまびらかに記した本が出版されたからです! 大変貴重なこのKAWAKAMI本 。 忍者の皆さんにとってはマストリードなイチモツですので、読みどころを紹介していきたいと思います。
しっかり読みたい自伝「忍者の掟」
角川新書から出版された「忍者の掟」。
川上氏の生涯と伝えられた忍術の内容が、もったいぶることなく大変わかりやすく記されているのです。 何度も読み返す資料としても非常に有用で、これは忍者を志す者なら1冊は持っておきたい永久保存版でしょう。
川上氏が過ごしてきた忍者修行の全貌、忍者の定義と忍術の定義、忍者の歴史や忍術の具体的な心得・やり方など、「本当にこれ900円でいいのですか?」という内容がてんこ盛りなのです。 しかも全体的に非常に平易な文で書かれているので読みやすく、一気に読んでしまいました。
完全にマニアックなのであまり参考にならないかもしれませんが、特にオススメは3章の「忍者・忍術の歴史をたどる」。 これまで川上先生が研究してきた古文書を根拠にして、忍者の歴史を起源から順を追って説明してくれる章なのですが、この原典となる忍術書や古文書の数の膨大さたるや驚きです!!
こういうサイトやっていると忍者や忍術の紹介などはなるべく一次資料にあたってその真実を確かめたいのですが、なかなかこれまでの忍者解説本って最後の参考文献にちろっと出てくるくらいで、一次資料の何にどんなことが書かれていたか、まではわからないことが多いんですよね。
忍者界隈でよく言われている有名なこの説って、この古文書に書かれていたのか! というのがわかる点で、すっごく助かります。 この点においては山田雄司先生の「忍者の歴史」がもっと詳しく書いているのでそちらも今度ご紹介いたしますが、川上先生はそこに自身の忍術修行の経験も交えた見解などを添えてくれるため、なかなか興味深い内容となっています。
・・・丹波村雲流の忍術秘伝書には、こうした修行で心身を鍛えて行くと、逆立ちして何十間も歩くことができ、7回性交したあとでも踊れるくらい心身が頑強になる、と書かれている。
by 川上仁一著「忍者の掟」P94
そんな心身が手に入るなら小さい頃から忍術修行しておくんだった…でもコトの後に踊るってどんな状況やねんw
などなど、たまーにツッコミたい記述もあるのがまた面白いところです。 まずはこの忍者の掟を読んで、忍者に必要な精神や生活行動は何なのか、自分の忍魂に問いかけてみましょう。
甲賀流忍術の理解を深めるには二冊読もう!
ほぼ同時に発売された「忍者 現代に活きる口伝〜忍びのように生きたくなる〜」と本書。 どちらから読んでもいいですが、自分的のオススメは以下のような読み方ですね。
まずは「忍者の掟」を読んで体型的に理解する
その後「忍者〜口伝」の方を読み重要ポイントを押さえる
今後「忍者の掟」を何遍も読み返す
対談の方はライトで読みやすですが、その性質上体系的にはなりにくいので、忍者スピリッツをさらに深堀りして高めていくには「忍者の掟」の方が良いでしょう。一回読んだだけじゃ全部消化しきれないほど難しいけど深い部分もありますので。
ただ、「忍者〜口伝」の方も、現代において忍者がどう生きて行ったらいいかを軸にして、端々に忍者の教えの重要ポイントが散りばめられていますので、付箋を貼ってその要点だけは必ず押さえておくとバッチグーです。
というわけで、将来的にやろうと思っていたNin-terviewの川上先生の回は、何を聞いて良いのかわからなくなってきました。でも1つだけ、Ninjackみたいなゲリラ媒体じゃないと聞けないことを思いついてしまったので、そこについては…いつか川上先生のNin-terviewが実現するまでのお楽しみで!
タイトル | 忍者の掟 |
作者 | 川上仁一 |
出版社 | KADOKAWA /角川新書 |
発売日 | 2016/12/10 |