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レポート
2018.09.11

忍者学会の意義は研究だけじゃない「第2回国際忍者学会 〜巡検編〜」

肥前夢街道
レジャー施設
九州
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2018年9月8~9日に佐賀県嬉野市にて開催された「第2回国際忍者学会」

1日目の大会では、真面目に忍者についてお勉強をさせていただきました。 国際忍者学会の2日目は、嬉野における忍者ゆかりの地を巡るフィールドワーク「巡検」となります。

前回の大会編はマジメな文調でお届けいたしましたが、巡検についてはいつものNinjackテイストで写真とツッコミ満載でお届けしたいと思います!!

あの忍者研究界では偉大な先生方のお茶目なオフショットも盛りだくさん!


バスに揺られて肥前夢街道へ!


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肥前夢街道を運営している会社が経営する旅館「入船荘」に集合し、みんなでバスに乗り込みます。

昨日発表されていた先生方や、忍者ファンの皆様などと和気あいあいとお話しながらバスに揺られる時間も、結構なプレシャスタイム。

普段あまりお話できない先生方や忍者関係の方と、こんなにゆったり話せるのはすごく貴重!

まず最初に到着したのは、嬉野にある元祖忍者村「肥前夢街道」

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肥前夢街道については▼1年半前に体験記事を書きましたが、あれからかなりリニューアルをされているようなのですので、変わった部分は特にご紹介していきましょう!

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入口の方へ進むと、忍者さん達がお出迎えしてくださいました。

あれ?もう引退したはずの長門さんじゃないですか!

肥前夢街道が擁していた▼忍者集団「葉隠一族」の二代目リーダー長門さんも、本日限りの復活のようです。

前日の頭目といい、長門さんといい、誰かがシェンロンに願いを叶えてもらったのではないかと思うほど忍者が復活しまくっていて、今回の夢街道はスペシャル感が半端じゃありません。

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そして今をときめく美人くノ一の「お鈴」さんにもお会いすることができました!!

そしてこの入口を越えると確か、待っているのはあの御方…

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出ました日本一のインチキ芸人・神谷弦二郎こと通称「弦さん」

前回訪れたときは、真剣にガマの油を塗るとゲストの腕を斬ってもあら不思議、斬れませぬという芸を見せてくれましたが、今回のターゲットは果たして・・・

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KADOKAWAが誇る忍者編集者・麻田さんが呼ばれてしまいました!

さすがガマの油、腕がまったく斬れません。

麻田さんには今後も忍者本編集して欲しかったので腕斬れなくてよかった…


県&大学とコラボした「デジタル忍者体験会」!


以前は何もなかった大きな劇場では、国際忍者学会の開催を記念して特別に「デジタル忍者体験会」が行われていました。

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これは佐賀県が主催者となり、佐賀大学クリエーティブ・ラーニングセンターと肥前夢街道がコラボレーションして、VRなどの最新技術を体験できる粋なスペシャルイベントだったのです!

「デジタル隠れ身の術体験」「VR忍者ショー」「VR/ドローン空撮による忍者村ツアー」の3つが用意されていたのですが、一番人気だったのはなんといっても「デジタル隠れ身の術」でした。

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このようにグリーンバックの前でポーズをとると・・・

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このようにスクリーン上の画像に合成されて、リアルタイムに映し出されるのです!

ちなみにモデルは「▼そろそろ本当の忍者の話をしよう」の著者・ギャンビット社の佐藤さんでお届けしました。

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普段はマジメに研究をされている青森大学の清川先生と三重大学の高尾先生も・・・

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グリーンの布をかぶせることによって、このようにデジタルに隠れ身の術を唱えることができます。

先生たち、ノリノリで楽しそう…!笑

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忍者くねくねのさんや、▼伊賀流忍者店の真影店長忍者青龍窟さんもノリノリです!

国際忍者学会会長の中島先生もノリノリですが、隠れることができずにはみ出まくっていらっしゃいます。

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三重大学の忍者研究の第一人者・山田先生に至っては、完全に生首おばけになっていらっしゃいました。

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嬉野市の職員で日本忍者協議会の会員としても活躍していらっしゃる笠原さんも、ハニカミながら隠れ身の術!

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たくさんの方がデジタル隠れ身の術を体験して楽しんでいらっしゃいましたが、ベスト・オブ・隠れ身忍者を発表します・・・!

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忍びの館の管理忍で国際忍者学会の運営委員である井上先生&忍者青龍窟さんのこちらの作品で決まりでしょう!

青龍窟さんの生首感もすごいけど、井上先生のこの顔と言ったら…w

普段は真面目に見える先生方や職員さん達の、ちょっぴりお茶目な一面が見られたデジタル体験でした。

ドローン撮影やVR忍者ショーもあったのですが、VRは映像が撮影できなかったのでVRゴーグルを装着している人の写真でもお楽しみ下さい。

前日にクレバーな発表をしてくださった吉丸先生稲本さん、国際忍者学会の運営委員人見先生もVR忍者ショーを楽しんでいます。

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吉丸先生どこ向いてるんですか?

吉丸先生が変な方を向いていたので接写しましたが、まったく気づかれませんでした。

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そして山田先生が怪しすぎる…

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肥前夢街道の忍者ショーが間近で臨場感たっぷりに見られるこのVR、大変完成度が高かったです!


専門家も拍手喝采の忍者ショー


そして昨年「忍者不足」のニュースで話題になった夢街道の2忍で行う忍者ショー。

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頭目がいなくなった後はどうなるのかと思って見ましたが、軽快なトークを行う忍者さんが会場を最高潮に盛り上げてくれました!

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神出鬼没の忍者ショーは、会場の大勢の忍者の専門家の方を楽しませていらっしゃいます。

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名物の入れ替えの術は、なんと専務の河野さんも「長年ショーやってて初めて見た」というほどの大失敗に終わるというアクシンデントが!笑

逆に会場はものすごく盛り上がりましたw

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お客さんに手裏剣を打たせるコーナーでは、何度も伊賀流手裏剣打選手権大会の全国出場している▼忍者青龍窟さんに白羽の矢が!

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見事に手裏剣を命中させ、会場をドッと湧かせました。

ものすごいマシンガントークとアクロバティックな動きでショーを盛り上げていたこちらのイケメン忍者さんは竜将さん。

竜将さんのショーのクオリティが驚くほど高すぎで、今一番人気の忍者さんなのだそうです。

九州に行ったらこのショーを見るためだけにでも肥前夢街道に寄るべきと言っていいほど楽しいですよ!


進化する肥前夢街道!


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「あの手裏剣の命中はさすがでしたね〜」と談笑しながら、夢街道を巡る一行。

伊賀上野観光協会の廣澤会長や、甲賀忍術研究会の西田さんも楽しそう。

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以前来たときはかなりのおふざけ系顔ハメパネルがたくさん並んでいましたが、今はカッコいい系のパネルがゾロリと並んでいます!

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そしてメチャメチャかっこよかったのが、 佐賀忍者として発見された田原安右衛門の記念石碑。

地元の忍者をこうやって大切にする心意気、好きだな〜

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安蔵さんに連れられて行った、以前は変身処であったスポットも寺子屋にリニューアルされていて…

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中は素敵なスポットに変身していました!

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地元の高校の書道部とコラボして、鍋島直茂の言葉などを壁一面に所狭しと描かれている空間は圧巻です。

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前は九州忍者保存協会の血判状があった館も、今話題の忍者スマホゲーム「突破 Xinobi Championship」とのコラボスペースとなって、ワクワクしてしまう造りに変わっていました。

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忍者7つ道具展のあった場所は、あのInstagramで有名な、くすっと笑える和風あるあるネタを描く山田全自動さんの「山田全自動館」に。

江戸情緒の雰囲気もマッチしていて、時間を忘れて見入ってしまうほどの楽しさ。

リニューアルした箇所はどのスポットも相当にグレードが上がっていて、肥前夢街道はこの1年半で相当レベルアップしていたようです。

前に来たときはあんなにツッコミ所満載のB級テーマパークだったのに…

と、ツッコミポイントが減ってしまったことに若干寂しくなりながらパーク内を歩いていると・・・

ん?なんだこれ?

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前は何もなかったところにネットが張られていました。

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江戸ミントン…!いやいや、バドミントンですよね?羽根ついてやる西洋のスポーツですよね?

と専務の河野さんに聞いてみたところ「いえ、江戸ミントンです!」と半笑いで回答が返ってきました。とまどっていると、今度は向こうから・・・

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お龍さんだ!お龍さんがバイクに乗ってきたー!

と参加者みんなで突っ込んだものの、▼お龍さんからは「違うでござる!これは馬でござる!」との返答が!

確かに、これは誰がどう見てもちょっとバイクに似ている馬ですね…! その他にもどう考えたって絶対に渡れないアスレチックができていたり・・・

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地味に「必ず濡れます」って書いてある…

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どう考えたって数年前に流行ったあの映画に似てる看板があったりと、僕の大好きなツッコミどころ満載の肥前夢街道はそのイタズラ心を忘れてはいなかったようで安心です(笑)

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最後は忍者のみなさんが、巡検の一行をお見送りに来てくださいました。▼お雪さん

弦さん曰く、「次来てくれた時は侍じゃなくて忍者になります」とのことでしたが、前に訪れた時も同じこと言ってたような(笑)

クスっと笑える部分を残しながらも、施設自体は次々とキレイになってクオリティが上がっている肥前夢街道

一度行った方でも何度でも楽しめると思いますので、ぜひまた行ってみて下さい!


佐賀忍者「弁慶夢想」と「田原安右衛門」のゆかりの地


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マンガ「美味しんぼ」にも出てきた湯豆腐のお店「宗庵よこ長」で昼食をとります。

お店の横には足湯の蒸し風呂があり、忍者研究者や忍者武芸者、大学の先生や来年学会が開催される長野県職員の方がまったりと談笑しています。

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なんかこの感じ、NARUTOに出てくる五影会談みたい!

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日本忍者協議会の事務局長・立石さんも、気持ち良い足湯に思わずほっこりと笑みが溢れる昼下がり。

遊んでばかりじゃないかと思われそうですが、午後はしっかりと忍者のお勉強ができる場所へと向かいました。

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最初に訪れたのは、佐賀の忍者でタイ捨流を修めた弁慶夢想ゆかりの地「八天神社」

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社の中で前日の基調講演をしてくださった深川直也先生が、八天神社について解説をしてくださいました。

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  • 八天神社には、鎌倉時代に中国の僧侶が建てた寺が荒れ果てていたところに大蛇が住み着いており、京都の方からやってきた山伏が大蛇を奇術で呪い殺したという伝説がある。その山伏がその寺に住み着き、八天狗社として八天神社の歴史が始まった。

  • 嬉野は昔、山岳信仰の聖地である唐泉山が修験道の聖地であり、これに伴って麓の八天狗社が栄えた。時の権力者は八天狗社に寄進するほどであった。戦国時代の山伏は権力と結びついて武装化していて、山伏を束ねて軍配者となって活躍した。

  • 八天狗社は江戸時代に入ってからも佐賀藩や鍋島藩にも重宝されていた。江戸後期には江戸の佐賀藩の藩邸になぜか家事が少ないということから、八天神社のご利益ではないかという噂がたち、江戸で八天講の信仰が広まる。老中松平定信が八天狗社の熱心な信仰者で、全国の他の地域にも分散していった。今も家事避けの神様として信仰している地域がある。

  • 幕末になると佐賀藩は蒸気船を作るが、蒸気船ができたお礼参りをここに御礼参りに来るほど信仰が深かった。江戸時代が終わると八天神社の信仰は廃れていった。

  • 忍者とのかかわりでいうと、戦国時代の山伏を見ていると諜報活動したり、占いをしたり忍者との線引きが難しい。佐賀の山伏は忍者に親しい活躍をしていたのではないか。

  • 弁慶夢想とのかかわりでは、タイ捨流の始祖丸目蔵人の一番弟子である伝林坊頼慶が相良藩に属し、山伏の修行として山を巡回していた。その間に八天神社に滞在し、地元の侍などにタイ捨流を教えていたと記録に残っている。タイ捨流には忍術の記載もあるので、長崎や佐賀の情報を集めて、相良藩に報告していたのではないかと推測している。

もしかするとこの神社の境内で忍術の稽古が行われていたかもしれない、と考えるとロマンが溢れ出てきて、この地に立っている幸福感がジワジワと湧いてきます。

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次にやってきたのはあの田原安右衛門に関連する僧形坐像が眠るお寺「光桂寺」

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門にそびえ立つ金剛力士像の「阿」担当の方が、若干変顔をしているように見えますね。

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こちらが僧形坐像で、住職の方曰く田原安右衛門の肖像とも、仏様ともいわれているとのこと。

ただ、今回の嬉野忍者調査があるまでは、忍者に関係している像だとは知らなかったのだそうです。

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これに関しても、深川先生よりどうして田原安右衛門とこの僧形坐像が結びついたのかをご説明いただきました。

  • 図書館で佐賀の八幡信仰についての論文を見つけて僧形坐像の底面の文が書いてあったものを読んでみた。すると、「田原系図」に記載されている戒名と死没年が一致していることなどから、田原安右衛門の菩提を弔うために奉納されたものであることがわかった。

  • 奉納は安右衛門の娘夫婦が行ったもので、安右衛門の死後2ヶ月後に奉納されていることがわかった。

お寺の住職さんも知らなかったことが、こうやって忍者の調査をしたことによって、初めて新たな文化財としての発見に繋がったというのは本当に素晴らしいこと。

深川先生がおっしゃっていた「忍者の調査は郷土史の可能性を広げる」というのはまさにこういうことなのでしょうね。


忍者という名の元に多様な価値観と触れ合える忍者学会


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こうして国際忍者学会の2日目巡検が終了したわけですが、今回の学会はなんだかとても温かいイベントであったというのが第一印象でした。

本記事でも意識的にどんな人が参加していたのかを紹介しながら書いていきましたが、嬉野という普段はなかなか来られないような地域には、全国から以下のような人たちが集まっていたのです。

  • 各地で忍者を発掘・研究する研究者

  • 忍術を探求して道場などで教えている方

  • 忍者パフォーマンスで人を喜ばせている方

  • 伝統的な歴史的な忍術を正式に継承している方

  • 忍者の魅力を伝え町おこしをする地域の方

  • 忍者の魅力を発信する出版社や新聞社の方

  • 忍者から新たな価値を創造しようとする企業の方

  • 忍者を活用した行政を志す県庁や市役所の方

  • 忍者を純粋な心で楽しむ忍者ファンの方

研究者だけではない、それぞれ立場が違うみなさんが「忍者」という一つのワードでつながっている。

そして、お互いの立場を尊重しながら楽しく交流を図っている。

そんな光景は、ほかの学会では見られないものなのではないかなと思います。

普通は研究者かファンだけが集まりますが、忍者という定義があってないようなものだからか、上述したようなあらゆる立場の人達が集まるのではないかと思えるのです。

そう、国際忍者学会のもう1つの良さとは、まさにこの無限なまでの多様性とその交流の幅広さなのではないかなと感じました。

その分刺激がたくさんもらえますし、特定の団体にありがちな上下関係もないので大変居心地がいいんですよね。

忍者は人の上に人を造らず

人の下に人を造らず。

(本当は勉強しろという意味ですが)忍者を軸に集まる人達はみんな温かく、とても素敵な空間を一緒に過ごすことができる。

そんな意味でも、国際忍者学会には多大な可能性を感じてしまうのでした。

国際忍者学会の設立の目的は以下のとおり書いてあります。

研究者、忍者関連事業者・自治体、および忍者に関心のある市民など、広く忍者に興味関心を抱く人々が集い、忍者に関する国際的・学際的研究を推進し、情報提供・会員相互の交流・親睦をはかることを目的として結成された学会です。

http://intlninja.com

まさにこの通りの学会になっているのではないでしょうか。

もちろん、2日間懸命にアテンドをしてくれた肥前夢街道の皆様の多大なるおもてなしも、相当大きな要因だったのは間違いありません!

勉強しても楽しいし、みんなで遊んでも楽しい国際忍者学会。

会員絶賛募集しておりますので、ご興味を持たれた方は国際忍者学会のHPより申し込んでみて下さい。

そして2018年12月22日には東京で研究会が、2019年は長野県上田市にて第3回大会が開催されますので、ぜひそこで楽しく交流を図りましょう!

国際忍者学会

執筆忍
”すべての忍者をJackする”生粋の忍者オタク。忍者に関するあらゆることを実現していきます!
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