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書籍

忍者の兵法 三大秘伝書を読む

忍術書
角川ソフィア文庫
中島篤巳
忍者の兵法 三大秘伝書を読む

「正忍記」「万川集海」「忍秘伝」が1冊に!#


その響きだけでなんか凄いことが書いてありそうな「忍術秘伝書」というワード。

この大和の国には忍術書の中でも権威があるとされている三大忍術秘伝書というものがあります。

  • 藤林保武が書いた「万川集海」

  • 名取三十郎正澄が著した「正忍記」

  • 服部半蔵が記した「忍秘伝」

一般人がそうやすやすと手を出してはいけないんじゃないかとも思える、これらの忍術秘伝書たち。

実際数年前までは、これらの忍術書の現代語訳を読もうものなら、ウン万円、ひどい時にはウン十万円払ってはじめて、Amazonマーケットプレイスでたま〜に手に入れられるような代物でした。

欲しいけどこんな高いの買えないよ~(涙)

現代に伝わる忍術や忍具、忍者の精神性のほとんどは、この三大秘伝書がもとになっています。

そんなハードルの高い忍術書のうち、万川集海と正忍記の現代語訳をお手頃価格で世に出してくれたのが、忍者研究界の神様・中島篤巳先生。

Ninjack記事の参考文献として、いつも読ませていただいております。

そしてこの度、この三大忍術伝書に「義盛百首」や「軍法侍用集」なども加えて、忍術書のエッセンスを抽出したなんとも素晴らしい本が出版されました!

eye ninjahyoho

その名も「忍者の兵法 三大秘伝書を読む」(角川ソフィア文庫)であります!

あのウン十万かかる三大忍術秘伝書がまさか1冊で、しかも手のひらサイズの文庫で読める時代が来るとは…

これ忍者じゃない人にはピンとこないかもしれないですが、忍者界的にどれだけスゴイことかと言うと、トリュフとキャビアとフォアグラが全部具として詰まっているおにぎりがコンビニで100円で売っているみたいな状態なんですよ!

いやぁ…忍者に優しい時代になってきましたね!


正忍記をベースに忍者の精神や技術を読み解く#


この本は20年以上前に中島先生が書かれた「忍術秘伝の書」のリバイバル版として出版されたもの。

忍術秘伝書の「正忍記」をベースにして、様々な忍術書には一体どんなことが書かれているのかを解説してくれています。

なぜ正忍記をベースにしているかというと、正忍記が最も知的ですごく奥深い内容だから。

作者の名取三十郎正澄のお墓がある和歌山県の恵運寺では「正忍記を読む会」 という会合が定期的に開かれているくらい、説法にも使える格式高い忍術書なのです。

この「忍者の兵法」はその構成が本当に見事でして、バラバラに忍術書を読んでいると断片的な記憶になってしまって、

あれ?マキビシの記述って萬川集海だっけ…それとも正忍記だっけ…いや、忍秘伝だったかな…?

って迷うことも多くなりますし、たまに記述は被っているんだけど内容は少し違ったりして、混乱することがあるんです。

でも忍者の兵法では、「忍者の隠れ方については、正忍記にはこう…。万川集海にはこう…」と比較しながら解説をしてくれるので、同じ忍者のことでも忍術書によってどのように書かれているかが一目でわかります。

江戸時代に書かれた正忍記や万川集海は、儒教の影響を受けてか「道」を説くのにすごく苦心しているのですが、比べて忍秘伝の方は戦国時代に書かれたからか、いきなり「筒火」について解説をはじめるんです。

他にも「万川集海」は火術や火器について膨大に書かれているのに「正忍記」にはほとんど書かれていないのは、作者の立場的に火器を実際に扱っていたかいなかったかの違いであることを考察したりと、納得する記述が多いのです。

それぞれの忍術書の性格が浮き彫りになってくるので、その辺りも注目すると楽しめますよ!


最終章「極秘伝」が忍者瞑想ワールドへ誘う!#


makimono

やはり正忍記は素晴らしい出来だな、と改めて思ったのですが、最終章の「極秘伝」はぜひ何度でも読みたい章ですね。

この部分は忍術の極意が書かれているのですが、もう忍術の根本というか「人としての根本って一体なんだろう?」という哲学めいた世界に誘われる記述でして、断然深みが違います。

少し当時の宗教的な思想も入って来てはいると思うのですが、禅問答のようにとにかく忍者の本質を考えさせられる内容となっています。

うーん…忍術って深い。

本書の中で中島先生が一貫して書いているのは、忍者は「常に自分は大したことない奴」と装っておいて、相手が隙を見せた時に一気に形勢逆転するというスタイル。この極意が極秘伝の内容に沿ってびっちり解説されていて、忍者の精神的な部分を探るにはぴったりですね。そしてこの書を通じて、中島先生の忍者愛がビシバシ伝わって来るのがサイコーです!

ちなみに落第忍者乱太郎のファンの方は、この本を読むと尼子先生が作品の中で使っている忍術の解説は「正忍記」によるものが多いことに気がつくと思います。最終章でも出て来る「人を破らざるの習い」ってすごく好きなんですが、いつもこのワードを聞くと忍術学園の事務員「小松田さん」を思い出してしまいます(笑)

忍者を志すみなさんも、そうじゃないみなさんも、現代でも役に立つ教えがたくさん詰まっていますので大変オススメです。ちょっと最初の方は歴史解説で重いのでおったまげるかもしれませんが、途中になるにつれてみんなの大好きな忍術が出て来るので楽しいですよ!

ぜひカバンの中に忍ばせて、ことあるごとに忍者の兵法を開いてみましょう!

タイトル忍者の兵法 三大秘伝書を読む
作者中島 篤巳
出版社角川ソフィア文庫
発売日2017/2/25

忍者の兵法 三大秘伝書を読む

忍者の兵法 三大秘伝書を読む

著者
中島 篤巳
出版社
KADOKAWA
発売日
2017年02月25日頃
ISBN
9784044002107

世を忍び、極限の状況の中を生き延びて、難問を解決してきたとされる忍者。彼らの培った忍術は、机上の論ではなく、実戦によって練り上げられた「生きる技術」の結晶である。これまで明らかにされることのなかった忍術の全貌について、詳細な記録を残す『正忍記』『万川集海』『忍秘伝』などの秘伝書を読み解きながら、歴史や概念から術や武具、禅との関わりまで、忍者の全てを白日の下に晒す。新史料・『武田流忍之書』も収載。 はじめに 第一章 忍術と忍者  一、忍術書について  二、江戸幕府隠密報告書を読む 第二章 忍術伝書の内容とは  一、忍者の概念  二、忍術の歴史 三、忍者の種類  四、忍術の原理  五、忍者の出陣  六、忍術の基本型 第三章 忍術の進化と陽術・陰術  一、忍術体系化への第二段階  二、兵法を加味した新しい忍術の実践体験  三、察知  四、打診と見積り  五、陽術と陰術  六、「虎狼の習い」と陰術  七、諸藩と幕府の密偵たち 第四章 行動の合理化  一、忍具  二、時の大事  三、季節や年齢と睡眠の型  四、逃走の魔術  五、独忍と双忍 第五章 攻防一水  一、忍者の薬  二、火器  三、行動する環境と忍術  四、水平思考から実戦へ  五、謀略の媒体を選ぶ  六、『万川集海』の防御術  七、『万川集海』の「忍び夜討ち」  八、忍者の柔術と剣術  九、忍術の呪法  十、毒薬  十一、身を隠す  十二、心理誘導  十三、人相を読む 第六章 極秘伝  一、極秘伝序  二、不立文字  三、無門関  四、敵心中に活路を求める  五、理を以て察し、利を以て誑かす  六、忍者の理論武装  七、深淵の魔術を引き出す  八、忍法、空によりて走る  九、奥義 <コラム> 天喜事件/北斗七星で読む運勢・方向・時間/天下分目の忍者戦から/忍術と山伏/情報都市江戸/忍者に騙されないために/睡眠の生理学/帝国海軍の忍術行動/催眠誘導の効果/受容の技術/甲賀老人衆、天草を走る 付録 『武田流忍之書(全)』 おわりに

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執 筆 忍

嵩丸(たかまる)
嵩丸(たかまる)

”すべての忍者をJackする”生粋の忍者オタク。忍者に関するあらゆることを実現していきます!