「あ」:編み笠に 隠す頬傷 近入りの術|Nin-Karu vol.12

〜前回までのあらすじ〜

「第二次天正伊賀の乱」で里を追われ、京の外れへ逃げて来た雀丸くん。 サスケ先輩はどこかへ言ってしまい、話しかけて来たのは変な虚無僧。 さて、雀丸くんはこのあとどうなるのでしょうか。

ケーススタディ:潜入任務

失礼な虚無僧に絡まれる雀丸くんですが、自分の胸に手をあててよくよく忍びの掟を思い出しました。 このまま仲間の復讐のためにこれまで習った忍術を使おうものなら、それは忍者ではなくただの暗殺者。 自分も忍者の端くれ、そんな人生を送るために忍者になったわけではありません。 [speech_bubble type=”std” subtype=”L2″ icon=”jakumaru_L1.gif” name=”雀丸くん”] 確かに「忍者は自分のために忍術使ってはいけない」ってヤスケ先輩もずっと口を酸っぱくして教えてくれてたっけ。やばい、先輩に愛想つかされちゃったな…。ひとまずこれから…どうしよう。
そんな雀丸くんを草陰から見ている怪しい人物がひとり。 [speech_bubble type=”std” subtype=”R2″ icon=”komusou_R1.gif” name=”虚無僧”]ったく目冷めやがったな。しょうがねえなぁ…いっちょ鍛えてやっか。
  [speech_bubble type=”std” subtype=”R1″ icon=”komusou_R1.gif” name=”虚無僧”]おい、クソ忍者。やっと目が覚めたようだな!どれ、どうせこのままでも野たれ死ぬだけだろうから一丁俺が修行つけてやろう。
[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”jakumaru_L1.gif” name=”雀丸くん”] わっ!お前まだいたのかよ!ってか本当に誰なんだってば!お前なんかに稽古つけてもらう筋合いなんて…
[speech_bubble type=”std” subtype=”R1″ icon=”komusou_R1.gif” name=”虚無僧”]覚えてねーのか?まぁ無理ねーわな。最後に会ったの、おめえがまだ小さい頃だったしよお。
虚無僧は頭の笠をおもむろに脱ぎはじめました。 [speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”jakumaru_L1.gif” name=”雀丸くん”] ……!!!あ、あなたは…
・ ・ ・ それから8ヶ月後のある日…京都二条城の南に深い編み笠を被った男がいました。 ヤスケ先輩です。 しかしその頬には傷がついています。 [speech_bubble type=”std” subtype=”L2″ icon=”yasuke_L1.gif” name=”ヤスケ先輩”]「時」が来るまであと3日だな。こんな危ない「近入りの術」は初めてだぜ。依頼主もまた凄い事考えるよな。
ヤスケ先輩はそういいながら、建物を守る兵におじぎをしました。 [speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yasuke_L1.gif” name=”ヤスケ先輩”]拙者、饗談の伝平と申す。羽柴殿より仰せ使った中国攻めの経過報告、殿にお伝えするよう羽柴殿から預かった伝書をお持ち致した。聞くと殿はこの「本能寺」で休まれているとか…。
[speech_bubble type=”std” subtype=”R1″ icon=”samurai_R1.gif” name=”見張り”]おぉ、頬傷の伝平じゃないか。さ、入ってまずは足でも洗うが良い。
ヤスケ先輩が使っている「近入りの術」とはいったい何なのでしょうか。

戦中・開戦が近いときが「近入りの術」

情報入手のために使用する忍術には、大きくわけて「陽術」と「陰術」の2つがあります。 姿を隠さずに堂々と情報を入手する忍びを「陽忍」、姿を隠して情報を盗む忍びを「陰忍」というのです。 陽忍の術の中には「遠入りの術」と「近入りの術」があります。 [wp-svg-icons icon=”moon” wrap=”i”] 遠入りの術…常日頃から忍びを周辺諸国に送り込んでおき、いざというときに情報を流す術 [wp-svg-icons icon=”moon” wrap=”i”] 近入りの術…もうすぐ戦が始まる!というときに、忍びを送り込んで情報を入手する術 遠入りの術は平常な頃から潜入しておくのに対して、近入りの術は戦時中または一触即発の警戒態勢が敷かれているときに忍び込まなければならないため、忍者にとっては近入りの術の方が危険な目に合う確率が高いです。 そのため、どうしても近入りの術を使わなければならない場合は、高度な変装スキルや巧みな隠密潜入スキルが必要なのでした。 その意味でヤスケ先輩は「この任務が危険だ」と言っているのですね。 近入りの術の1つに「妖者(ばけもの)の術」というものがあります。 これはそのときそのときの相応の姿に変装して術を仕掛け、怪しまれずに潜入したり情報を得たりするものです。 過去の忍び達も数多くこの妖者の術を使って任務を成功させてきました。 [wp-svg-icons icon=”accessibility” wrap=”i”] 源義経:奥州に逃げるにあたり山伏の格好で逃げた [wp-svg-icons icon=”accessibility” wrap=”i”]  伊勢三郎義盛:耳が聞こえない者に化けて敵陣に入った [wp-svg-icons icon=”accessibility” wrap=”i”]  新堂小太郎:話せない者に化けて敵城に入った [wp-svg-icons icon=”accessibility” wrap=”i”]  楯岡道順:配下を乞食などに変装させて敵城に侵入させた バレれば速攻打ち首の超ハイリスクな術ですね。 絶対バレないように、山伏に化けるなら山伏の持つグッズも全部揃えたり、知識レベルも合わせておくなど油断ならぬ術なのでした。 ヤスケ先輩も頬傷のある有名な饗談に変装して何か任務を成し遂げようとしているみたいです。 雀丸くんの忍者かるた物語も段々と大きな話になってきました…。 次回も乞うご期待です!

編み笠に 隠す頬傷 近入りの術

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関連リンク・参考文献
参考文献      :完本 万川集海(中島篤巳訳) 忍者かるた公式サイト:忍者かるた 企画・画像協力   :しころぐ]]>