変装の修行のために「虚無僧小屋」に行ってきた
忍者の変装術「七方出」の1つ「虚無僧」
突然ですが忍者といえば変装術ですよね。
忍びは黒装束を着て、コソコソ隠れて侵入するイメージが強いです。
ただ、それは二流の忍者のやり方。
情報を盗み出したり、関所を怪しまれずに通るために一番有効だったのは変装術なのです。
これを陽忍の術といいますが、忍者の変装術には基本7パターンがあります。
その7パターンは七方出(しちほうで)というのですがこちらがその全貌です。
[wp-svg-icons icon=”leaf” wrap=”i”] 常の方(一般人の服装)
[wp-svg-icons icon=”leaf” wrap=”i”] 商人
[wp-svg-icons icon=”leaf” wrap=”i”] 僧侶
[wp-svg-icons icon=”leaf” wrap=”i”] 放下師
[wp-svg-icons icon=”leaf” wrap=”i”] 猿楽師
[wp-svg-icons icon=”leaf” wrap=”i”] 山伏
[wp-svg-icons icon=”leaf” wrap=”i”] 虚無僧
忍者になりたければ、これらの変装はすぐにできるようじゃないとダメですよね。
変装だけでなく、変装した職業に応じた話題やスキルも披露できないと確実に怪しまれます。
忍者を志そうとするみなさんは変装するときには注意してくださいね!
ちなみにこの中で一番謎なのが「虚無僧(こむそう)」なる職業かと思います。
虚無僧は見た目はめちゃくちゃインパクトありますが、その実態についてはあまりよく知られていません。
でも忍者ジャーナリストを目指す身としては、虚無僧についてちゃんと知っておかないとあかん・・・
ということでNinjack編集忍は虚無僧に変装することを誓い、どうやったら虚無僧になれるのかを調べてみました!
虚無僧になるための「虚無ソウビ」集めの旅がはじまる・・・
虚無僧になるためにはどんな装備が必要なのでしょうか? 忍者としてノーマルな虚無僧に変装するために必要な装備をまとめてみました。
高すぎる・・・!!
なんか思ってたよりも装備集めるの大変そうだな、と思ってくじけそうになってしまいました。
もう諦めようかと思った瞬間、僕の脳内に天から直接話しかけてくる声が聞こえてきました。
[speech_bubble type=”std” subtype=”R2″ icon=”komusou_R1.gif” name=”虚無僧の神”]おい、そこの忍者野郎!あきらめてんじゃねぇ!
— はっ。。あなたは・・[speech_bubble type=”std” subtype=”R2″ icon=”komusou_R1.gif” name=”虚無僧の神”]俺は虚無僧の神だ!お前伝説の忍者になるんだろ?いいからとっとと虚無僧の装備「虚無ソウビ」を集めてこいや!じゃないと話始まんねーだろ!
— 虚無ソウビ・・・なんとも微妙な響きですね。でも尺八高すぎるし、安いのなんか味が出ないんすよ!
[speech_bubble type=”std” subtype=”R2″ icon=”komusou_R1.gif” name=”虚無僧の神”]仕方ねえ、最初のおつげをしてやろう。台東区の「谷中」ってところに昔から虚無僧が集まる「com-so-koya」ってとこがあるからそこ尋ねてみるんだな!
— こ、、com-so-koya?
こうして僕は導かれるように、虚無僧になるために台東区谷中に旅立ったのでした。
谷中にひっそりとそびえる「com-so-koya」


なんともそれっぽい看板が立っているではありませんか!






— うお!いつの間に!
さすが本場の虚無僧の方、気配を消すのも得意なのかもしれません。。 このお方は航(ワタル)さん。 今回尺八作りを教えてくださる優しいお兄さんです!
初体験! 尺八を採れたての竹からDIYするの巻
竹選び
com-so-koyaでは採れたての竹から自分のオリジナル尺八を作ることができます。 まずは竹選び。 長さや太さやそり具合、節の間隔などから自分の好きな竹を選ばせていただけます。
貫通の儀
次に口をつけて息を吹き込む「歌口」から、息が通り抜ける「管尻」までの穴を貫通させます。

歌口削り





孔開け
次は指を抑える「孔」を開けていきます。


完成!ちゃんと音が出る!


なんか褒めていただきました。やったー!
一緒に演奏


吹流しの修行
ひととおり演奏を聞き終えて呆然となっているとDeU先生が語りかけてくださります。 [speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”deu.gif” name=”DeU先生”]それじゃいきますか![speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”wataru.gif” name=”航さん”]行きましょう!
— え‥行くってどこへ?
言われるがままにお借りした傘を被り、ちょっとだけ吹けるような尺八を持って外に出ると

来ました、初めて見ましたモノホンの虚無僧!

— いや、でも僕まだ吹けないですし。。。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”wataru.gif” name=”航さん”]初めてにしては音結構出てるんで大丈夫ですよ!さぁ、谷中の街に哀愁を漂わせていきましょう!
ということでまさかいきなりの「吹き流し」をすることになりました・・・




com-so-koyaの想い
小屋に戻ってからお2人にこのcom-so-koyaや虚無僧について聞いてみました。 — com-so-koyaを始めようと思ったきっかけはなんですか?航さん: 10数年前の街のお祭りで、DeU先生とDeU先生のお師匠が虚無僧の姿で尺八を吹いていたんです。その時に知り合ったのですが尺八が奏でる音色と哀愁感にすっかり惹かれてしまい、その後DeU先生と一緒にこの「com-so-koya」を4年前に始めました。 — DeU先生は以前から虚無僧をやられていたのでしょうか?虚無僧についても教えてください!
DeU先生: お師匠について虚無僧をやっていましたね。今は虚無僧の入る普化宗の会員でもあります。虚無僧は江戸時代にはかなりアウトローな存在で暴力団のような輩もいたのだそうですが、私は虚無僧が奏でる尺八の侘び寂びのある音色がなんとも言えず好きなのです。楽器としての尺八ではなく、虚無僧が扱う尺八というのは終わりがありません。どれだけ上手くなってもまだまだだって思うんです。 虚無僧の中で伝えられている曲はいくつかありますが、それを覚えれば虚無僧になれるわけではありません。虚無僧の虚無僧たる所以は街を歩き、尺八を吹くこと。これをやっていなければ虚無僧とは言えません。逆に曲など覚えていなくても吹き流しをやっていれば誰でも虚無僧になることができます。実際に昔の虚無僧でも1曲しかできない僧は多くいましたよ。 — 吹き流しこそ虚無僧たるアイデンティティーなのですね。その醍醐味はどこにあるのでしょうか。
DeU先生: 夕暮れのとき、竹の音とともに日が暮れていくような情景がとても趣がありますね。虚無僧の姿が見えなくても竹の音がどこからともなく聞こえてきて、消えていく。元気に遊んでいる子供達がその竹の音を聞いて「あ、そろそろ帰らなきゃ」と哀愁を感じながら帰っていくような存在こそ虚無僧なのだと思っています。実際に井戸端会議をしている奥様方も私の吹き流しを見て、さーっと帰っていくような風景もあります。みなさんが1日の終わりに尺八の音が聞こえたら「うるさいなー」とか「今日もいい1日だったなー」となんでもいいので、虚無僧の存在を生活の中に根ざしていくようなことができると醍醐味ですね。 — 確かに実際に吹き流しをやってみて虚無僧ってすごく不思議な存在な気がしました。
DeU先生: 虚無僧は「薦(こも)僧」とも言ったりします。薦(こも)というのはむしろのことで、昔貧しい人たちが敷物に使っていたものです。それを丸めて頭につけ、師匠と2人で吹き流しをしたことがあるのですが本当に恐ろしい見てくれになりました(笑)。見た目もそうですが、音色も含めて虚無僧は哀愁を届ける不思議な存在であると思います。com-so-koyaには外国の方が多くいらっしゃるのですが、音には感銘を覚えるみたいです。侘び寂び感というのは日本人だけでなく外国の方も持っているようですね。 — このcom-so-koyaを将来的にはどのようにしたいなどの夢はありますでしょうか?
DeU先生: このcom-so-koyaから虚無僧がうじゃうじゃと出て行くような小屋にしたいです。「虚無僧に会いたい!」という人がいれば「谷中にいけばいっぱいいるじゃん」となるような場所にしたい。もっと虚無僧が増えていってほしいと思っています。 — 素敵ですね!ありがとうございました!
お話を聞き、虚無僧をただのファッションではなく、身も心も本物の虚無僧の方だな、と感じました。 ここに行けば本物の虚無僧になれます。 虚無僧になりたい人は、ぜひお訪ねしてみてください! 予約はFacebookページからできます! [su_gmap address=” 東京都台東区谷中3-1-17″] ちなみに毎週月曜日夜に尺八の練習会もやっているそうです。 今度行きたいと思います! DeU先生、航さん、ありがとうございました!