〜前回までのあらすじ〜
織田信雄軍による伊賀への侵攻「第一次天正伊賀の乱」が勃発しました。
織田の忍び「饗談」からの奇襲に備え、どんでん返しのチューニングを行う雀丸くんとヤスケ先輩。
果たして2忍は饗談からの怒濤な奇襲を絶え抜くことはできるのでしょうか。
目録 - MOKUROKU -
ケーススタディ:宵越しのお茶は飲むな
饗談からの奇襲を受け、迎え撃つ準備をする雀丸くんとヤスケ先輩。
どんでん返しのチューニングも終わり、しばらくはここまでは敵も来なそうな気配です。
そういってヤスケ先輩は懐から竹筒を取り出しました。
雀丸くんはお湯を沸かし、濃〜いお茶にお湯を入れました。
雀丸くんとヤスケ先輩は、どんでん返しの裏に隠れました。
ゴクリ
しばらくすると、饗談はおもむろに悶えはじめました。
そう言って饗談は走って外に走り去ってしまいました。
いったいお茶には何が入っていたのでしょうか?
戦国時代 武将に愛された「茶」
昔、戦国武将達の間でも人気があった「茶」。
信長や秀吉の茶好きなんかも有名ですよね。
このお茶、実は当時、今でいう「レッドブル」的な効果をもたらしてくれたらしいのです。
お茶をすごーく濃くすると、お茶に含まれる「カフェイン」の覚醒作用により、ドーピング的な効果が現れたのだとか。
カフェインが入っている飲み物なんて、当時はお茶くらいのものでした。
戦の前に濃いお茶をガーッと立てて、グイッと飲み干して、バッキバキになって前線を書ける武将。
なんか格好いいですよね。
他にも口臭の消臭効果やリラックス効果があったりなど、お茶は今でも万人に愛される飲み物となっています。
お茶を毒に変える術「宿茶の毒」
このみんなに大人気なお茶、忍者は目的達成のためにお茶を毒に変えるという術を持っています。
これが「宿茶(しゅくちゃ)の毒」といわれる術です。
落第忍者乱太郎の土井先生の言葉を引用してみましょう。
上等のお茶で濃い液を作り竹筒に入れ、密封して縁の下に40日ほど入れておく
こうしてできた液を二、三滴ずつお茶や味噌汁にたらし毎日飲ませると
元気な者でも病気になり70日後には死ぬという
お茶に含まれている成分が時間が経つと有害になるのだ
これを「宿茶の毒」というby 土井半助(落第忍者乱太郎 第10巻 P210より)
当時の高級なお茶と言えば玉露のお茶などで一般人はそうやすやすとは飲めないものでした。
このお茶の中にはとてもたくさんの種類の成分が入っていますが、普通に飲む分には体に悪い成分はありません。
しかし、数日間置くとお茶の成分の中の「タンパク質」と「テアニン」に含まれる「アミノ酸」が腐ります。
この腐ったタンパク質やテアニンが、食中毒を起こす原因となっており、これを取り続けると体調が悪くなるということですね。
お茶に含まれる「カテキン」はとても強い殺菌作用があるのですが、時間が経つと正義の味方のカテキンも抜けてしまい、腐ったタンパク質などの毒を押さえることができなくなってしまうのです。
忍者はこの化学反応を使って、「宿茶の毒」を生成したのですね。
ということはタンパク質を多く含むものを腐らせればいいだけということ。
わざわざ高級なお茶じゃなくても、魚や卵を腐らせたものペースト状にして味噌汁に入れれば、お茶じゃなくてもよかったのでは・・・
今のお茶には防腐剤なども入っているから大丈夫ですが、ペットボトルの蓋を開けたら早く飲むように書いてありますよね。
お茶まで毒にする忍者・・・おそるべしですな。。
古い玉露で60日