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【Nin-Book】忍者の本質をすっごく考えさせられる一冊に出会った「中野学校情報戦士たちの挽歌」

【Nin-Book】忍者の本質をすっごく考えさせられる一冊に出会った「中野学校情報戦士たちの挽歌」




「戦国時代の情報ネットワーク」著者の新作忍者小説!

以前「戦国の情報ネットワーク」という忍者の活躍を情報の観点から解説したおもしろい本を紹介しました。

この本を読んだだけでも、忍者の本当の存在意義を知るにいい材料になるな〜と思っていたのですが、なんとこの本の著者が忍者の小説を出版したのです。

しかも第二次世界大戦時代に、教科として「忍術」があったスパイ養成学校「陸軍中野学校」を題材にして。

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先に言っちゃうと、この本は忍者であれば絶対に読むべき本なので、ぜひ読んでみてください!

少なくともNinjack編集忍はこの本を読み終えたあと、今までずっと自問自答して、いろいろ取材して、おぼろげながらも見えてきた
・忍者って何者なんだろう
・何が楽しくて、どんな思いで生きていたんだろう
・忍者は何をなすべきなんだろう
という問いに対する答えとして、決して少なくない示唆を得ることができました。

そんな忍者の本質を考えるにぴったりの1冊を今回はご紹介したいと思います。

陸軍中野学校とは?

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タイトルにある陸軍中野学校陸軍が作ったスパイ養成学校です

亀梨くん主演の映画「ジョーカー・ゲーム」の舞台のモデルにもなった機関ですね。

あらゆる語学と学問を学び、軍服は着なくてOKの当時にしては珍しい学校。

おとなの忍術学園といってもよいかもしれません。

そして忍者的視点から見てなんともユニークなのは、必修科目として「忍術」があったこと。

甲賀流14代目忍者の藤田西湖が教鞭を振るい、生徒たちに忍術の極意を教えていたのだそうです。

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藤田西湖

主人公はそんな陸軍中野学校の初代所長をモデルにした草影という男。

自分も陸軍中野学校と藤田西湖にはすごく興味があったけど、本だけ積ん読してまだあまり手を出せていない分野だったので、この本の表紙を見た瞬間…

Ninjack編集忍

お、陸軍中野学校の忍者授業についての話かな?楽しそ〜

とくらいにしか思っていませんでした。

ですが全然違うもっと深い「忍者とは何か?」の哲学じみた問いに真正面から切り込んだ小説だったんです。

陸軍中野学校で育てるべき「情報戦士」を定義する

話はもちろん陸軍中野学校にまつわる話なのですが、ストーリーの8割は陸軍中野学校を設立するまでの話。

そして「この昭和の時代に育てるべき情報戦士のあるべき姿は何か?」をテーマとしています。

列強各国との対立が激化する中、日本が諸国と対等に渡り合うために相手の情報を入手することの重要性に着目した草影中佐が、歴史上の忍者からあるべき情報戦士を定義付けしていくお話なのです。

今の時代に必要な情報戦士はどの時代の忍者を参考にすればよいのか。
過去の忍者たちは、どんなことをして、何を目指して任務に勤しんだのか。
そして彼らの最期はどうなったのか。

今の時代を生き抜くために、そして理想とする未来を掴むために、忍者を媒介としてインテリジェンスのあるべき姿を模索していく物語。

これからまさに昭和の忍者となり、それを育てようとする者が、過去の忍者の記録からインテリジェンスとしての不変の要素を導き出していくアプローチが非常に新鮮でした。

時代は変わっているので、もちろん情報入手や遁走、攻撃に必要な道具や武器なんかも全然変わってきます。

しかしその心構えや生き方については、不変のものとして昭和の時代にも参考になることが多い。

忍者もその時代時代によって働き方は変わって行きましたから、この時代の情報を司る者として参考になる忍者とならない忍者がいます。

・今の時代が必要とする忍者とはいったいどの時代の忍者なのか。
・その時代の構造を的確に捉えた上で、本当にそのまま参考にしていいのか。

この辺りは著者の前作の本を合わせて読んでおき、知識を蓄えてから本書を読んでおきたいところです。

小説というよりは「忍者の哲学書」と言っていい

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忍者の秘伝書に残っているのは「正心」だとか「音もなく匂いもなく、智名もなく勇名もない」だとか、綺麗事が多いなとは昔から思っていました。

なので正直言うと「正心大事にしなきゃね」とか「人に自慢しないのが忍者だよ」とか頭ではわかっていても、なんのためにそんなことしなきゃいけないのかは、まだまだ腹落ちしていませんでした。

多分それは、史実には現れなくて想像で補うしかない要素として、当時の忍者たちが「どんな想いを持っていたのか」がまだわかっていないからだと思います。

この小説では、その点を更に深堀りした忍者の存在価値忍者の人生の意味について非常に考えさせられる内容となっています。

一通り読み終わって「ある特定の時代の忍者に関してはきっとそうなんだろうな」と一つの答えめいたものはなんとなく見えてきました。

この小説の中で登場する過去の忍者や昭和の忍者たちが言ったり思ったりしたことと、これまでインタビューしてきた忍者たちや、たまたま昨日忍者についての講演を伺った山田先生や川上先生を初めとする研究家の方たちがおっしゃってきたことが、この本を通じて全部つながった気がしたんです。

それがいいことなのか悪いことなのか、自分はそれを割り切れるのか割り切れないのかはもう少し考えたいと思います。

そして草影中佐がしたように、もし今自分がこの時代において忍者として何かことをなすとしたら…と考えるのにも大変有用な書籍でしょう。

この小説の内容が現代ではそのまま当てはまることはないと思います。

きっと今の世は、陸軍中野学校があった時代とはまた違った時代の性質を持っているでしょうから。

そして「中野学校情報戦士たちの挽歌」は、ストーリーを楽しむものではないと言っていいかもしれません。

戦国の忍者や昭和時代の忍者たちがいったい何を思って生きていたのかに思いを馳せながら考えさせられる哲学的要素と、それを立証するための論文的要素が合わさった哲学書です。

それを小説という形式をとって心理描写に重きを置いたことで、「戦国時代のネットワーク」ではイメージがつけきれなかった部分も含めて、改めて「忍者とは何か」を理解できる最高傑作に仕上がっています。

ちょっと昔から流行っているアドラーの心理学をストーリー形式で伝えた「嫌われる勇気」みたいなものでしょうか。

そんな奥が深い忍者の本質、現代人はどのように捉えて生かしていくべきなのか

その辺りは、これからもNinjackを通じて紐解いて提言して行きたいと思います。

と、真面目な感じになってしまいましたが、とにかくオススメなのでぜひ読んでみてくださいね〜!!

NINJA WRITER

Ninjack忍者ジャーナリストNinjack 編集忍
世界各地で活躍する諸将の皆様へ、Ninjack.jpを通じて各地の忍者情報を密告する編集忍者。
忍者に関することであれば何でも取材に馳せ参じ、すべての忍者をJackすべく忍んでいる。
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