上田真田まつり参加準備レポ(1)〜日報の時代祭参加指南〜

平成の世に居ながらにして戦国を感じるにはどうすればいいのか…

その探求の一つの形として、戦国祭りに参加してみた一人の忍者が現代にいた。

試しに参加してみたらわりかし良かったので、今年は皆様にも是非紹介したいと思ったのであった…!

こちらの特集では、戦国大好きな忍者・日報が、戦国の息遣いを感じられるお祭りの概要や参加の楽しさ、また周辺地域観光なども合わせてレポートし、平成の週末のお出かけ先を紹介します。

それでは各々方、ぬかりなく!

現在の特集は、「第35回上田真田まつり」です。

今回はいよいよ始まった上田真田まつりの殺陣練習第一回と、そして「上田ついで観光」のコーナーでは上田市内観光初級編についてレポートいたします!

上田真田まつり殺陣練習第一回「基本の鍛錬」

第一回のタイトルが「基本」。岐阜県不破郡関ヶ原で毎年行われている関ケ原合戦絵巻に二度参加したくらいで戦国祭り準備には慣れた風を気取っていた日報が第一回から度肝を抜かれたポイントです。上田真田まつりでは「基本」に一日を割くのです!

初心者でもある意味安心、「基本」から始まるらしいこの一連の練習は毎週土曜日に行われ、祭り前日まで続きます。毎回長野県内、上田市近辺で行われるために、信州外からの参加は結構…いや、かなりハードです。

東京からは新幹線で2時間、約7,000円。または高速バスで3~4時間、約4,000円。練習の度に往復するとなると時間的にも金銭的にもかなりの覚悟が必要な小旅行ですね。また、練習は夜21時まで行われるので、当日中の帰参が難しいことも。事前に大手旅行サイトなどで上田市内で空きのあるホテルの目星をつけておいたほうがGoodです。

初めての受付

第一回の練習場所は長野県上田市の上田城址公園にある第一体育館です。

東京から高速バスで駆けつけた日報、早速第一体育館を目指します。

駅前の地図でパッと見、真ん中を突っ切れば近道に見えたので安易に上田城跡に突入しました。

しかし、城の縄張り内が突っ切れるように作られているわけはないんですよね。日報すっかり失念しておりました。

お堀!回り道!塀!石垣!どこへ続くかわからない謎の階段!

知将・真田昌幸殿が築城された上田城、初心者が近道を求めて安易に侵入すると死にます。暗い夜の上田城内で迷い、図らずも初日から真田井戸見てしまいました。あーこれが真田井戸かー…!(やけくそな感動)

長旅で携帯の電源も切れ、城内の様々な行き止まりに引っかかりながらえっちらおっちら第一体育館につくと、参加者受付で迎えてくれたのはお祭り実行委員会の方と第二代真田幸村殿のお二人。

このお祭りでは毎年真田幸村を選出し、選出順に第○代と呼ばれているそうです。沢山の真田幸村殿がいるのですね!

第二代様はスーパー面倒見の良さそうな頼れるお姉さまでございました。真田幸村殿曰く、「好きなお名前をこの鉢巻に書いてください。あだ名だとか、呼ばれたいお名前などなんでもいいですよ」とのこと。

ここでうっかり「徳川家康」とか書いたらみんなして袋叩きにしてくれるんだろうなと思いながら、普通に「日報」と書きました。殺陣中に呼ばれてとっさに反応できる名前って、日報にはこれしかないですからね。

それを横で見ていたまつり実行委員会の方に「日報ってなんですか…新聞社の方ですか…?」と言われるも、その横の二代目真田幸村殿「日報さんだったんですか。日報さんはコスプレイヤーの方なんですよ。これは芸名みたいなものです」とさらっとフォロー。ありがとうございます。真田殿はあとでちょっとツイッターのアカウント教えてください。

参加料は当日の保険とか色々で、参加費5,000円です。なお、関ヶ原も武将参加5,000円、その他役での参加は3,000円。他の各地の戦国祭りも、一般的なお値段としてはこれくらいです。しかしアレですよ、殺陣を7回も教えてもらって、当日の甲冑も貸してもらえて、休憩中にはお菓子がたくさんもらえて、それでこのお値段。思い出はプライスレスなことを置いておいて現実的に考えても格安です。

ということで受付を済ませたら、次は荷物をおいて動きやすい格好に着替えます。上着を脱いで、地下足袋を履きます。通常、地下足袋は持っている人が少ないので練習初日に間に合わなかったらスニーカーなどでもOKなのですが、一身上の都合により地下足袋は既に持っているので全く問題ありませんでした。

なお、このお祭りに限らずですが、武活の際には男女別の着替え場所は基本ないと思ってください。体育館の隅っこが更衣室です。関が原もだだっ広い体育館をどーんと使います。ですので、昼間早めに来て観光をされる方も、おしゃれ着の下には予め動きやすい服を着込んでおくのがおすすめです。

「着替えが終わったら名前入り鉢巻を巻いて集合です」とご案内してくださったのは昨年度の真田十勇士、穴山小助役の方。上田を拠点とした殺陣サークルで殺陣練習をもう何年も行っているという、小柄な美人さんです。小柄ながらしっかり強そう…!立ち振舞がシュッとしている…!穴山小助さんの後ろについてとことこ集合します。

余談ですが、練習場所に行く途中、カメラを持った「報道」と書かれた鉢巻を着けた方とすれ違い、そうか報道さんも来ておられるのかと思いました。報道の方も気合の鉢巻は必須なんですね…。真田の掟に従う報道の方の律儀さ、ちょっとかわいいです。

さて、上田真田まつり事前練習第一回、今回の練習内容は、以下の通り!
①ストレッチ
②足運びの訓練
③足運びに腕を組み合わせた基本の組手
④基本の刀の取扱
⑤基本の殺陣の型
⑥斬り合い練習

たった三時間の練習ですが、初日から盛りだくさんです。ついていけるだろうか。

① ストレッチ

縁あって、案内してくださった昨年度の穴山小助殿とそのまま二人でストレッチをすることに。

アキレス腱伸ばし、捻挫予防の足首伸ばし、首周り伸ばし、肩回し、股関節回しなど、剣戟をする際に使う筋を一つ一つ伸ばして行きます。これはどんなアクティビティの前にも共通してできるので、知っておくと役に立つ知識だなあと思いました。

初回だけでなく次回からも毎回ストレッチ・声出しはしっかりしてから刀を持つそうです。事故防止に務める上田真田まつり練習、その姿勢が素敵ですね。

② 足運びの訓練

これも昨年度の穴山小助殿がマンツーマンで教えて下さいました。

腰を落として、刀を持つ際の基本の足運びの「足だけ」の練習をまず行います。

日報は重心が後ろに行き過ぎているとのこと。足の角度や腰の高さをぽんぽんと直していただきながら何セットか、動きが体に馴染むまで行います。

しかし何でもそうかもしれませんが、少しの時間だけでもマンツーマンしていただくと時間あたりの吸収量が断然違う気がします。

③足運びに腕を組み合わせた基本の組手

先程行った刀を持つ際の基本の足運びに、腕の動きをつけてかんたんな組手を行います。突き、払い、突き、払い、を繰り返しても足運びが乱れないように訓練します。

手に気を取られると足が疎かになり、足に気を向けすぎると目線が落ちる。根気強く直していただいて、何とか動作に困らないようになりました。

もう既に小助殿(美人)には菓子折りか何か差し入れたほうがいいレベルでお世話になっています。初日からこんなに恩を受けてしまって大丈夫だろうか。

今日は練習運がすごくいいな~と思っていたらやっぱり反動は来るもので、後述しますが、練習帰りに新幹線のチケットを紛失するというハプニングが起きました。人生うまくできてるものです…。

④基本の刀の取扱

足運び・組み手が出来るようになったら早速刀を持ちます。

わーい!刀です!

木刀に色を塗った模造刀は、軽いので初心者でもバッチリ扱えます。まずは初日ということで基本の「き」、納刀の仕方、抜刀の仕方を学んでいきます。目上の人の前に座る際の刀の置き方、礼の作法などちょっと戦国心がワクワクするようなTipsも交えながら教えてくれます。大河ドラマ見るのがより一層楽しくなりそうです!

いちばん重要なのは、練習用の木刀でも本物と思って取扱う事だそうです。演者が刀を偽物と思うと、見ている人は更にそれが偽物らしく見えてしまうのです。木刀でも模造刀でも、この腰に挿してある一指しは本物であると思いながら出陣すること。これが現代に戦国を「作る」際に一番大切なことなのですね。

【日報の戦国豆知識】
時代祭の事前練習では、納刀と抜刀の訓練が必ずあります。腰に刀を差せるように、腰に簡単に巻けるものを持っていくといいですよ。帯の代わりに、日報は軽めのストールをいつも持ち歩いています。もちろん無くても練習はできますが、最初はあると腰の位置のイメージがしっかり決まってスムーズです。絶対に必要な場合は参加要項に「帯の代わりに軽く腰に巻けるものを持参のこと」って書いてあるので安心ですね。

⑤基本の殺陣の型

ここから一気にそれらしい練習になります。

刀を使って行う動きを組み合わせて、基本の型を練習します。人呼んで九の型。具体的には、抜刀、正眼の構え、正面の構え、正面斬り下ろし、八相の構え、袈裟斬り、逆手、逆袈裟斬り、返して胴斬り、逆胴、脇構えから相手の膝下斬り上げ、逆手、膝下逆切り上げ、突き、正眼の構えに戻るまでの一連の流れを繰り返します。このあたりから、剣術やってるなあ!ってじわじわ楽しくなってきます。

この基本の動きは書き出してみると長いですが、何回か繰り返すと一つの動作が終わった時点で体が勝手に次動作への構えに移ってくれるようになります。口で説明するほうが難しい感じです。何回かやってみると体がついてくるので簡単です。あー多分これ前世でやったわ…ってくらいスッスッと不思議と動くようになるので本当に初心者でも安心です。

でも慣れるまではちんぷんかんぷんで、正しい足運び、正しい重心移動をぽーんと忘れます。ひたすら繰り返して覚えるしかないんですね。わからなくなったら前の人と同じ動きをすれば間違いはないです。初心者は整列の際に二列目以降に陣取ると幸せになれますよ…!

⑥斬り合い練習

基本の殺陣の型を使って対面で斬り合いの練習をします。

今までは練習についていくことに必死で周りなんて見えておりませんでしたが、ここで「二人組を作ってくださーい!」と言われ初めてまともに周りを見回すと、パッと見で30~50名位の方が参加されていたようでした。

上田真田まつりは、練習参加は全回必須ではないので、祭当日まであと一ヶ月以上あるこの時期から参加される方はかなりのやる気と見て間違いないと思います。

日報ですか?勿論やる気ですよ!

休憩時間に聞いてみたのですが皆さん殆どは上田市内から、一部長野県内から、そして真田幸村に思い入れのありすぎるごくごく少数の人は他県から来ているようでした。

具体的には日報とか第二代幸村殿とかですね。幸村殿は名古屋から。日報は東京から。

少し話した限りではまだ二名しか見つけていないです、この「思い入れありすぎ参加」。県外の多くの人は、前日とかから参加するのだと思います。
この斬り合い練習の最中、重心位置がおかしい日報に指導の方がお声がけくださいました。

「重心が少し低くて後ろ寄りになってしまっているね。その姿勢は忍者のものだよ」

NINJA…!

注意されたのに褒められたような気がしてうっかり嬉しくなってしまいましたが、今ここには武将として立っているのです。ちゃんと重心位置を直しましょう!

斬り合いの練習のあと、礼をして今回の練習は終了。先程の幸運続きの反動で帰りの新幹線のチケットがどっか行ったのでこのまま上田に宿泊です!ゲストハウスが空いていて助かりました!

上田ついで観光「上田市内初級編」

新幹線のチケット紛失事件により唐突に突入してしまった行き当たりばったり観光。

市内を迷いながらゲストハウス「犀の角」に夜22時半にたどり着くと、オーナーさんが暖かく迎えてくれました。3月の信州は死ぬほど寒く、宿帳を書くためのボールペンがうまく持てないほど手がかじかんでいました。寒い。信州特産のリンゴジュース(常温!ありがたい!)をサービスで頂いてちょっと一息つきます。

小劇場が併設されているこのゲストハウスでは、たった今、夜の公演が終わったばかりなのだとか。

オーナーさん曰く、「客席後ろに薪ストーブがあるので一気に暖まれますよ、よかったらどうぞ!」とのこと。へー!と思いながらうきうき伺って薪ストーブでひとり温まっていると、そこに集まって来られた劇団員の皆様は信州上田城のおもてなし武将隊の方々。上田ついで観光「上田市内初級編」のつもりが、上田狙い撃ち観光「武将隊追っかけ超上級編」になってしまった偶然の遭遇でした。

少しお話させていただいて、劇団のことや次の出陣予定や上田市内のおすすめ観光スポットなどをお伺い出来ました。今は公演中のため全員揃っての演舞などはお休み中とのことですが、4月初め頃から再開するとのこと。日報はまだ上田のおもてなし武将隊さんは見たことがないので楽しみです!4月にはまた上田城に来ます、と言ってお部屋に戻りました。またどころか4月末まで毎週来るなんて怖がられそうで言えない。うっかり言わなかったのは英断だったと思います。

ほぼ新築のきれいなゲストハウスで一晩ゆっくり寝て、朝ごはんをいただいて(このパンがまたすごく美味しい!)、市内観光に出発です。早速昨夜聞いたレンタサイクル店に向かいます!

手荷物預かりが地味に嬉しいレンタサイクル屋さんです。今日は噂に聞くお蕎麦の名店「くろつぼ」というちょっと遠いお店まで行きたかったので、迷わずレンタサイクルを借り、商店街を登っていきます。上田の駅前商店街は山に向かってゆるく上り坂になっているのです。

電動アシスト自転車ではないので…荷物なしでも…坂が…きついなあ…!!

足がちょうど限界を迎える頃にあったのが、真田雁丸屋さん。店頭に飾ってあった甲冑に惹かれて一休みしていくことにします。

歴史好きにはたまらないおみやげショップです。

お土産品の販売から甲冑・陣羽織レンタルまで戦国らしいことはなんでも出来るご様子…!うきうきしながら店内を回ります。買い物かごに上田城クリアファイルを大胆に放り込んでいると、カウンター内のイケメン店員さんが遠慮がちにそっとお声がけくださいました。

「あの、間違ってたらすみません、もしかして去年、関ヶ原にいました…?」

はい、いました。


ほんっと忍者向いてないんですから!日報は!

顔を覚えられてどうするのか。

カウンターの中のイケメン店員さんは、戦国好きが高じてこの戦国ショップのお仕事に転職されたとのことで、各地の戦国祭りにもたまにご参加なされるのだとか。その一環で参加した昨年の関ヶ原で見た日報を覚えていてくださったようでした。

六文銭の入った陣羽織が一日借りられて1000円だそうです。うっきうきです。なお店内での試着はなんと無料とのことでした。すごい…。

本当はこちらの陣羽織は店内着用だけではなくお外に着て行ってほしいものだということですが、そこは一人旅の日報、平穏な日曜日午前の上田の街にたった一人で陣羽織を着て出陣する度胸がなく…!同じものを着た人が三人くらいいたら「ああ、こういうレンタルサービスを楽しんでるんだなあ」ってご納得いただけると思うのですが、一人だと「何だこの浮かれすぎた観光客…すげえな…」ってなるんじゃないかとの懸念があって、次回こそはリベンジしますと約束してそっと陣羽織を衣紋掛けに戻しました。

なおこの陣羽織、8000円ほどで購入もできるし、別料金でオリジナルでも作成できるとのこと。うっかりほしいな…マイ陣羽織…!本日のところはクリアファイルと、にっぽみを感じる小さな忍者フィギュアを購入してターンエンドです。

そして本日のメインのお蕎麦屋さん!地元の人はみんな知っている有名なお蕎麦屋さんで、昼過ぎには今日の分のお蕎麦が売り切れてしまうこともある静かな人気店とのこと。

とんでもなく美味しかったです…。一人だったからカウンター席で早めに入れましたが、二人以上だったら結構な待ち時間を覚悟したほうがいいかもしれません。30~40分ほど…。

このあと昼の上田城をくるっと自転車で見て回って、本丸跡を眺めて、あっという間に帰りのバスの時間になりました。うっかり帰れなくなっても、翌日も楽しめる上田の街でした。

今回の日報の場合は直前に決まった滞在でしたので人伝人伝に少しずつ聞きながらの観光でしたが、事前に調べておくともっともっと広く楽しめること請け合いです。

上田の観光はここに全部揃っているようです!

次回は上田真田まつり練習第二回レポートと、上田ついで観光第二回をお送りいたします。

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